山口ホールの落語と講談2009年12月05日

 山口ホールでの観劇が続いている。今日は2時からの「山口寄席」を見に行った。演目は「落語と講談」という珍しい組合せだ。前回無料だったJAZZバンドと違ってこちらは前売り木戸銭1500円の有料鑑賞だ。そのせいもあってか開演直前の客席は70人程度と寂しさは隠せない。
 小太鼓のお囃子に乗せて幕が開く。高座で若い女性噺家・露の団姫(まるこ)がにこやかに迎えている。北六甲台自治会館でのえびす寄席でもお馴染みの顔だ。今や最年少女性噺家としてテレビにも良く登場している。前ふりで笑いを取った後、「子ほめ」の噺に入る。一生懸命さは伝わるものの男性の登場人物を演じる違和感は拭えない。
 続いて登場したのは若手講談師・旭堂南青だ。なかなかのイケメンである。「太閤の風流」という演目をそつなくこなしているものの、インパクトは伝わらない。
 続いてベテラン噺家・露の団四郎の登場だ。この噺家もえびす寄席や神戸セミナーハウス寄席でも聴いた。軽妙な語り口と絶妙の間の取り方、豊かな表情、体全体での表現力など、たっぷり笑わせられる実力派である。巧みな前ふりで大いに笑わせながら「二番煎じ」の演目を40分ほどかけて演じきった。
 中入り後に最後に登場したのは貫禄十分の講談師・旭堂南鱗だ。「我々は男でも女でも南青のような男前でも私のようなへちゃむくれでもみ~んなコウダンシなんです」といきなり笑いを取る。テンポの良い話し振りが講談師の持ち味と思っていたが、この人の語りは思い切りスローテンポだ。そのスローさが前ふりでのトークになんともいえない味わいを加えている。演目の「赤穂義士銘々伝・横川勘平」になると多少テンポアップするが講談特有の歯切れ良さにはならない。この人はどちらかというと漫談家に向いているのではないかと思ってしまう。それ以上に講談という古典芸能自体の枠組みや制約が時代に合わなくなってきているのかもしれない。
 2時間半近くの演芸だった。観客の圧倒的多数の年配の男女は大いに笑いを楽しんだようだ。その世界に浸りきるには私はもう少し時間が必要なのかもしれないと思ったりしながらホールを出た。