復刻版日記⑬通勤電車バカヤロー物語「くたばれサッチー!がんばれノムさん!」2009年12月12日

(1999年8月7日の日記より)
 一杯機嫌の土曜日午後10時過ぎのJR車内である。通勤帰りとはいえ週末のこの時間帯である。空いたシートの確保は容易だった。束の間の安眠を貪ろうとした目の前で、熟年夫婦が既に貪っていた。夫の右肩に頭を預けた妻。ナントあのサッチーにそっくりだ。でもって夫はと見ると、これが又、オールバックのノムさんなのだ。ノムさんはサッチーの人一倍大きな頭の重さに耐え兼ねている風だった。時折、右目を薄目して右肩の痛みに顔をしかめている。しかし肩を外して苦痛から脱却する様子はない。サッチーの惰眠を覚ますことがもたらす恐ろしいリアクションを知り尽くしたかのような見事な振る舞いである。
 実在のノムさんサッチーの関係もきっとこのとおりに違いない。おりしも我が阪神タイガースは9連敗中である。私は目の前のサッチーを睨み付け、ノムさんのけなげさに心打たれながら心中で叫んでいた。”くたばれサッチー!がんばれノムさん!”