恒例の風物詩の出現2010年01月15日

 1年で最も厳しい寒さの早朝である。酷寒の空気が両耳に刺すような痛みをもたらす季節である。二三日前から着用し始めた毛糸の帽子が両耳を覆っていた。有馬川の川面の半分が氷に覆われていた。水の流れを確保した残り半分の川面が氷との戦いに勝利していた。
 中国自動車道の橋脚をくぐった先の田圃に、今年もいつもの風物詩が出現した。山口の昔からある集落のひとつの「とんど焼き」の笹竹の束である。おそらく今週末の日曜朝に恒例行事が催うされるのだろう。
 山口は農耕社会の伝統と風習をなお色濃く残している。そうした行事を煩わしく思っている層も少なくない筈だ。にもかかわらず伝統的行事が頑なに維持されている背景やエネルギーは何なのだろう。新興住宅街在住の傍観者でしかない私にはその苦労や煩わしさはない。季節の移ろいをもたらす風物詩を、ありがたく見つめるばかりである。