復刻版日記⑮ホントにあった怖い話2010年01月21日

(2003年10月某日の日記より)
 某月、某日、高校時代の友人4人との久々の飲み会があった。2年前にもミナミの寿司屋で旧交を温めた仲間たちだ。
 午後6時、集合場所の梅田・新阪急ホテルのロビーは帰宅帰りのサラリーマンたちの待合わせで混み合っていた。先に待っていたF君、O君を見届け、喫茶コーナーのテーブルに合流し最後のメンバーを待った。
 ほどなくG君が現れた。小太りの体躯に入道頭という遠目にもそれと分かるG君の姿は、否応なく我々の目に入る。一方、G君の方は、混雑するロビーに戸惑いながら友人たちの姿をを探しあぐねている様子。
 突然、隣席のF君が大声をあげた。「オ~イッ、ハゲ~ッ!ココヤ、ココヤ」(「ソリャ マズイんじゃない」とは内心の私の呟き)。その時だ。周囲のテーブルのあちこちからオヤジたちが一斉にこちらを振り向いた。瞬間、その正体を知って唖然とした。ナント振り返ったオヤジたちの誰もがハゲだったのだ。彼らの目に一様に怒りの炎が宿っていた。その怒りは、傍若無人な一言を発した無作法な人物に向けられ、そして次の瞬間、無意識のうちに思わず反応してしまった自分自身に向けられたに違いない。
 F君の名誉のために付け加えておきたい。彼は決して傍若無人でも、無作法でもない。誰よりも仲のよいG君への親愛の情が少しばかり強すぎただけなのだ。そしてその情を表現した場所と時間に多少問題があったに過ぎない。
 ・・・・それにしても、恐ろしくて身のすくむ瞬間だった。

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