自身の足跡の残し方2010年01月29日

 先日の高齢者お食事会のことだ。担当地区のテーブルで近所の80歳近い男性と隣り合わせになった。先年、奥さんに先立たれ今はひとり住まいの方で、何度かお訪ねした方である。大手私鉄のOBで写真撮影や鉄道の旅などが趣味であると承知していた。共通の関心事ということで旧国鉄有馬線が話題になった。
 今日、彼が交流会で楽しげにカラオケのマイクを握るスナップをプリントしてお届けした。「ちょうどよかった。私も訪ねようと思ってたんです」とのこと。交流会で旧国鉄有馬線が共通の趣味と分かり、手元の資料を私に譲りたいと思っていると告げられた。早速、食卓テーブルで3冊のアルバムや30枚ほどの写真パネルを見せてもらった。
 写真の多くは旧有馬線の線路跡を丹念にトレースしたものだが、当時走っていたSLと同型の写真や図面もある。中には今は廃線となったJR福知山線の生瀬~武田尾間の旧路線を走るSLの雄姿や、トワイライト・エクスプレスの年に1、2度しか走らない三田駅近くでの風景写真もあった(上記画像)。パネル写真は、御自身が山口公民館で旧国鉄有馬線をテーマに公民館講座を行った際のものだ。80名もの受講者を集めた講座だったようだ。永年の研究の成果を一冊のファイルにまとめたが、寄贈して今はないとも告げられた。貴重な資料の説明を聞きながら1時間ばかりを過ごした。人生の晩年を迎えて自身の足跡をどのように残すかということは重くて辛いテーマに違いない。
 「残しておいても未練だから。関心のある人に是非引き継いでもらいたいと思っていた」との言葉を噛みしめながら、アルバム三冊とパネルを詰め込んだ紙バックを四袋を抱えてお宅を辞した。