スーパー跡地の住宅開発と住民運動2010年12月04日

 小学校体育館で自治会主催の住民説明会が開催された。テーマは住宅街の中心部にあったスーパーマーケットの退店後の跡地利用問題だった。跡地を買い取った住宅開発業者が13区画の住宅開発を計画し自治会に説明会開催を要請したものだ。これまで自治会は第1回の説明会と3回の住民集会を開催し多くの質問意見を吸収した。今回はそれらの声も踏まえた第2回目の説明会ということだった。
 会場の小学校体育館は午後から予定が入っているため、10時~12時までの限られた説明会として開催された。主催者の自治会役員から議事進行が説明された。まず業者から開発計画の説明を受け、その後にそれに対する質疑応答に移りたいとのことだ。その途端、進行そのものに反対する声が上がった。業者側説明は開発そのものを前提にしたもので反対だという声だった。呼応するかのように様々な反対意見が相次いだ。
 住民運動の難しさを思った。仮に住宅開発阻止が目的だとにしてもそこに至る道のりは単純ではない筈だ。業者説明は手続き上も不可欠だ。それを排除しては次に進めない。少なくとも住民代表たる自治会の用意した流れには協力すべきだろう。途中で自治会が要請して出席していた弁護士からの発言もあり、何が焦点かが明らかになった。開発に当たって既に存在している住宅街の「地区計画」が適用されるかという点だ。開発業者には地区計画は念頭になかったようだ。当該地は地区計画ではコミュニティー機能の充実をはかる「近隣センター」に該当し住宅開発は想定されていないと解釈される。業者の開発申請に対する市の許可の可否判断が焦点となる。弁護士からは「まず市に対し地区計画の趣旨内容も含めた住民側の意向を冷静に申入れすること」という提案があった。もっともな対応だと思う。
 一時的な感情を前面に押し立てても持続力はないし力の分散も避けがたい。最終的には訴訟さえも視野に入れなければならないかもしれない。冷静で持続力のある運動をどう組織できるかが問われているように思う。