M-1グランプリの終焉2010年12月27日

 昨晩の「M-1グランプリ2010」を見た。10回目の今回で打ち切りということだ。確かにかっての輝きは失っていた。なんでエントリーされたのかと首をかしげたくなるコンビもあった。三組で競われた最終決戦は9年連続決勝進出の「笑い飯」がようやくチャンピオンに輝いた。ただその栄誉も消去法的受賞の感はぬぐえない。「スリムクラブ」は意表をついた特異な展開でインパクトがあったが、果たして漫才チャンピオンとして妥当かといえばNGだろう。昨年チャンピオンで敗者復活から勝ち上がった「パンクブーブー」は最初のネタはさすがと思わせたが、最終決戦のネタも最初のネタの焼き直しでは余りにも芸がない。結果的にオーソドックスな漫才芸で仕上げた「笑い飯」がグランプリを手中にした。
 M-1グランプリがなぜ今回で打ち切りなのか。2年前のチャンピオンの「NON STYLE」以降、優勝者がその後活躍できず人気も出ていないことが取りざたされている。とりわけバラエティー番組などでトークができないことが不人気の理由とされる。審査委員長の島田紳助などもトークができないことをギャグ風に問題視していた。果たしてそれが問題なのだろうか。そもそもその年の漫才という話芸のナンバー1を競うのがM-1グランプリではないのか。個人のキャラクターに負うところが大きいトークが問題なのなら人気芸人グランプリをやれば良い。吉本興業の島田紳助と組んだ「売れる芸人づくりの手っ取り早い仕掛け」という側面が見え隠れしてしまう。
 仕掛け人・島田紳助の最近のテレビ番組での傍若無人ぶりも気になるところだ。バラエティーショーなどで出演者たちへの上から目線の物言いは目に余るものがある。出演者たちの実力者・紳助に対する見え透いた媚も気に入らない。島田紳助が才能のある優れたタレントであることは否定しない。が、長年に渡る実力と人気が芸人としての本来の立ち位置を忘れさせてはいまいか。自ら企画し立ち上げたM-1グランプリの当初のコンセプトが変質してきたのは否定できまい。その背景に島田紳助自身の変質がありはしないか。