御旅所の二本杉が大変だ!2011年03月02日

 今日の昼前だ。所用で公智神社前から御旅所方面に宮前通りを歩いていた。何気なしに前方右手に視線を移して仰天した。二本杉の北側の一本が全ての枝が払われて丸坊主になっているではないか。咄嗟に「何ちゅうことをするんや」と思った。すぐそばにはクレーン車の長い腕が空高く聳えている。今も作業が続行しているようだ。
 御旅所横に来た。クレーン車のそばで作業員二人が相談している。「ここに引っかけたらこっちに倒せるから」とか言っている。丸坊主にするだけでは済まないような会話である。その横で交通整理をしているガードマンに訊ねた。「あの杉は引き抜かれてしまうんですか」「そうや。何しろ根が張出してしもうて、石垣が崩れそうで危険なんやそうや」「それやともう一本もおんなじ運命なんですか」「そらそうや。引き続き作業に入るようや」。
 ショックだった。市の保護樹木にも指定されている銘木である。樹高15m、幹周り2mの巨木である。何よりも公智神社の御神輿を戴く台座の左右に聳える二本杉は、御旅所の威厳を保持する貴重な存在だ。その二本杉が無残にも引き抜かれてしまうとは・・・。
 想いを抜きにすればやむをえないのかもしれない。二本杉は石垣に囲まれた100坪ほどの狭いスペースに立っている。あの巨木を支える根元がどれほど太く深く張っているかは想像に難くない。石垣をも突き崩すほどの強力な生命力なのだろう。放置することで通行人の身体や生命に危険を及ぼす懸念も否定できない。それでもやっぱり無念さは消えない。二本杉に何の咎はない。ただ命を育んできただけだ。人間が一方的に設けたエリアを越えそうになったからといって、命までも絶たれなければならないのか。二本杉に代わって詮のない愚痴を呟きながら、明日にはなくなるだろう二本杉をしみじみ眺めた。