安全地帯の日常の営み2011年03月16日

 朝11時過ぎに山口支所を訪ねた。娘に頼まれていた戸籍謄本と住民票取得のためだ。婚姻届や新居の不動産賃貸に要する書類だった。何でもない日常生活のひとこまである。・・・が、内心のざらついた気分は抑えがたい。「永年一緒に暮らしてきた娘がいよいよ巣立っていく。オヤジは今その片棒を担いでいる」、なんぞというなんとも愚かしい感情である。大災害の悲惨さや被災地の苦悩の前になんとちっぽけな感情だろう。
 その足でセンター前のバス停からさくらやまなみバスに乗車した。しばらくすると不気味な灰色の空から猛烈な粉雪が舞ってきた。三月中旬の何という寒さだろう。天気予報は東北地方の一段の冷え込みを告げていた。未曽有の大災害の被災者たちに降りかかる無慈悲な寒さを呪った。
 1時半から市の補導委員代表者会に出席した。会議の冒頭で東日本大震災の犠牲者を偲んで黙祷した。その後、たんたんと議事は進む。とはいえ阪神大震災では被災地のど真ん中の街の会議である。開会、閉会の挨拶ではそれぞれに被災地を思い遣る言葉がついて出る。出席者の想いを代弁する言葉である。
 被災地の惨状に想いを馳せても、遠く離れた安全地帯に住む私には平穏な日常の営みがたんたんと続いている。