義肢メーカーと民博見学の一日2011年03月25日

 社会福祉協議会分区の毎年恒例の福祉講座の日である。総勢39名の参加者を乗せたバスが朝9時前に住宅街を出発した。最初の訪問先は大阪府大東市にある義肢・義足のトップメーカー「川村義肢株式会社」である。

 町工場の建ち並ぶ一角に同社の本社、工場、ショールームの入った大きなビルがあった。広い会議室で会社の事業内容を紹介したビデオを観た後、3班に分かれて工場見学となる。義肢・義足をはじめやコルセットなどの装具が製品化される工程をつぶさに見学した。あらためて知ったのはそれらの装具は全てオーダーメイドであるということだ。ひとりひとりの身体に合わせた装具でなければ意味はない。機械生産の困難な、其れゆえ多くの工程を手作りに委ねるしかない製品だ。限られたスペースに多くの従業員が立ち働いている。手作り故の風景である。勢い製品コストも嵩み高額な製品になってしまう。それでも障害者には不可欠なものであり保健制度で何とかカバーされている。従業員の誰からも顔を合わせるたびに「こんにちは」と声をかけられる。社会に役立つ仕事をしているという誇りがそのマナーの良さの背景にあるように感じた。

 2時間ほどの工場見学を終えて、近くのレストラン「木曽路」で昼食をとった。お造り、サラダ、天麩羅、筍ご飯など10品近いメニューは千円の会費を十分に補った美味しい昼食だった。

 次の目的地は万博記念公園内の「国立民俗博物館」である。初めて訪れた「民博」は予想を上回る感動的な展示だった。広大な施設内に世界の民族文化の証しがエリア毎に展示されている。展示物のレベルの高さや規模と点数の多さは圧倒的である。そのほとんどが世界中から集められた現物である。さすがに国立の博物館の威力は絶大だと思った。国の権威や財力、博物館展示物という目的抜きには到底買付け不可能な貴重な民族遺産のオンパレードである。

 別館の特別展示場では、民博初代館長の「ウメサオタダオ(梅棹忠夫)展」が開催されていた。名前を知っている程度の人物だったが、展示を観終えた頃にはその偉大な業績と独自の文明観にすっかり魅せられた。2時間の見学時間があっという間に過ぎた。定刻4時に帰路に着いたバスは、予定時間を20分ばかり早く出発地に到着した。