権利擁護セミナー「成年後見制度って?」2013年02月26日

 昨日2月25日10時30分から12時まで、山口公民館で開催された「権利擁護セミナー『成年後見制度って?』に参加した。社協の役員会で案内があり、民生委員の役割とも関連して関心を持ったテーマだった。
 受講者の9名という少なさが、成年後見制度という一般にはまだまだ馴染みのない制度の現実を窺わせた。講師の西宮市の権利擁護センターの相談員でもある徳山弁護士から以下のような話を聞いた。
◆成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人を保護・支援する制度で、家庭裁判所から選ばれた後見人等が本人に代わって財産管理をしたり、日常生活の様々な契約を結んだりできる。裁判所の審判で選任される「法定後見」と、本人が判断能力が十分なうちに候補者と契約をしておく「任意後見」とがある。
◆成年後見人の役割には、「本人の財産目録作成」「本人に代わって介護サービスや施設入所契約を行う(代理権)」「本人の預金通帳などの財産管理と収入支出の記録作成」「本人が行った不利益な契約などの取消し(取消権)」などがある。
◆制度を利用するための申立ての手続きは①家庭裁判所で「成年後見申立てセット」をもらう②主治医に診断書をもらう③本人の財産目録を作成する④家庭裁判所に書類を提出し申立てるという流れである。申立てができるのは「本人」「配偶者」「4親等内の親族」である。
◆成年後見人は家庭裁判所が本人を環境や状況を判断し最も適切と思われる人を選任する。実態としては配偶者、親、子ども、兄弟姉妹等の親族が約6割を占め、それ以外では法律・福祉の専門家が選任されるケースもある。
 
 受講後、ネットで自宅であらためてこの制度について調べてみた。セミナーで講師から紹介された法テラス(法律に関する総合情報サービスセンター)にも電話(0570-078374)した。またセミナー受講者の宮っ子に特集記事「318号(2012年9・10月号)」があったという情報も役立った。以下はその成果である。
 そもそも何故、成年後見制度が必要なのか。平成12年4月、介護保険制度の開始に伴い、介護サービスの利用が「措置から契約」へと移行した。認知症高齢者が介護保険制度を利用しようとする場合、契約時には後見人を立てなければならず、そのため成年後見制度と介護保険制度は相互補完の関係で同時に施行された。
 他方で高齢化の進展で判断能力が不十分なお年寄りが悪徳商法の被害を受ける事例が増えている。後見制度を利用して被後見人となった場合、被害者本人が行った不利益な契約は、クーリングオフ以降であっても後見人が取消すことができる。後見開始後、後見人、被後見人の氏名等が法務局に登記され、法的に取消権が保障されているからだ。
 民生委員の担当地区に認知症が懸念される独り住いのお年寄りがいる。悪徳商法の被害に遭わないとも限らない。家族の方に成年後見制度の紹介をしてみようと思った。