映画「マディソン郡の橋」2013年03月10日

 テレビで放映され録画していた映画「マディソン郡の橋」を観た。18年前に封切られた映画である。その2~3年後にテレビで放映されて観た時の好印象が残っていた。最近またBS朝日で放映されたのを知って録画しておいた。大筋のストーリーはほぼ記憶に残っていたが、個々のシーンでは新鮮な受け止め方で共感しながら愉しんだ。
 この作品が取上げたテーマについての評価は大きく分かれている。「単に不倫を美化しただけの作品」という否定的な見方と、「四日間の許されない愛に真摯に向き合った中年男女の大人の恋物語」という肯定的な見方である。観終えて、個人的には後者の立場に立っていた。
 アイオワ州の片田舎の「屋根のある橋」を撮りに来たカメラマン・ロバートは、そこで平凡な農場主の主婦フランチェスカと出会う。世界を股にかけて冒険に富んだ人生を独りで生きるロバートと、イタリアから夢を抱いてアメリカに渡ったものの野良仕事と子育てに明け暮れる現実に鬱屈した日々を過ごすフランチェスカ。その二人が出会い、一気に恋に落ちるのは必然だったかのように物語は展開する。そして別れの四日目を迎えて二人は葛藤する。家や家族を捨ててロバートと出ていくことを、最後にフランチェスカは断念する。
 掟にとらわれない孤独で緊張感に満ちた人生と、日常の様々なルールや倫理観に身をゆだねながら平穏で安定した人生・・・。ロバートとフランチェスカの背負った人生の葛藤は、一人の人間の内にある葛藤でもある。だからこそ人間は興味が尽きないし、人生は奥行きが深くて愉しい。そうしたテーマを観るものに提示し、判断を委ねたこの作品に共感をしたのだ。「不倫を美化した作品」と切って捨てられない人間の奥深い葛藤のドラマとして受け止めた。
 撮影当時、ロバート役のクリント・イーストウッドは今の私と同年代の65歳だったという。かってのマカロニ・ウエスタンのヒーローは初老の魅力的なカメラマンを見事に演じていた。それ以上にフランチェスカ役のメリル・ストリープの肉感的で魅惑的な演技に思わず感情移入してしまった。テーマ性には二分される評価も、二人の演技には誰もが及第点を与えていた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ahidaka.asablo.jp/blog/2013/02/28/6733524/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。