飼犬Xの変身2013年03月11日

 朝の散歩道の定番ルートの一角に、何カ月か前から一匹の飼い犬が登場した。2年ほど前に同じ住宅街に引っ越してきたご近所さんが、庭で飼い始めた犬である。まだ小さいお子さんもいる若い世帯なので民生委員としてお訪ねすることもなく、ご近所つきあいもない。従ってその犬の名前も、何という種類なのかも知らない。勝手に「飼犬X」と呼んでいる。毛足の長い立派な尻尾のベージュがかった白い犬だ。なかなかハンサムな顔をしている。
 朝の散歩道で毎日顔を合わせる犬である。私の姿を見つけるたびにXは甲高い声で吠えたてていた。その度に、「ええ加減にオジサンの顔を覚えたらどうや!」と内心で呟き、顔を見合せながら通り過ぎていた。途中から、立派な尻尾がしきりに振られていることに気がついた。まんざら嫌がっているのでも警戒しているのでもなさそうだと好感をもった。
 今日のことである。その飼犬Xがようやく私を見かけても吠えなくなった。尻尾を振りながら優しい眼差しでジッと見つめ続ける。「飼犬Xの変身」である。売れっ子推理作家の作品「容疑者Xの献身」を思い出しながら、本日のブログ記事のテーマを決めた。

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