朝もやの中の残りさくら2013年04月12日

 昨日の温かさがどこかに旅だったようだ。予想以上の肌寒さに慌てて薄手のダウンジャケットを羽織って出かけた。有馬川の堤にはこの時期には珍しい朝もやが漂っていた。昨日の日中の温かさと今朝の冷え込みが、川面の湿り気を霧に変えていた。
 堤に突き出たさくらの枝ぶりが目にとまった。散り初めた枝に残る幾つかの花弁の健気さが心に沁みた。枝の向こうに人影が映った。いつも見かける年配の道友のおじいさんだ。姿形と歩き方だけで人影の正体を分かりあえる。それだけの年月が散歩道に刻まれていた。散歩道もまた老後の貴重な居場所に違いない。