海外旅行の家内の役割2013年06月01日

 我が家のリビング横の四畳半には、二つの大型トランクと下着や着替えのシャツやズボンが並んでいる。一週間後に迫った10日間の海外旅行のために家内がせっせと準備したものだ。半月ほど前から始めてようやくトランクに詰められる段階になっている。
 半年ほど前に、旅行社から送られてきたパンフレットの中に、かねてから訪ねたかった北欧の手頃なツアーを目にした。スウェーデン、ノルウェー、デンマークの三国を巡り、五つのフィヨルドを訪ねる旅である。ストックホルム、オスロ間の国際列車やフロム山岳鉄道とベルゲン鉄道にも乗車し、オスロからコペンハーゲンは1泊2日のクルーズ乗船という楽しみもある。2年前の北京ツアー以降、毎年恒例の海外旅行が途絶えている。手頃なツアーを見つけて久々にネット予約した。
 それにしても海外旅行での家内の役割には頭が上がらない。事前の旅支度から旅行中の着替えや荷物整理、帰宅後の後始末のほとんどをやってくれる。2~3日の国内旅行なら何とかなるだろうが、10日間もの海外旅行となると一人ではもうお手上げである。こうした準備をそれほど苦にしない性質(たち)の人である。あれこれ揃えながら足りないものを見つけて買い物に行くのが楽しみでさえあるようだ。それでも家内抜きの長期旅行は今や考えられないという現実も認めざるをえない。
 反面、旅行中は亭主の出番は大きい。ツアーとはいえ、飛行機の搭乗、その他諸々の手続きは欠かせない。こうした実務は全面的に亭主任せである。旅先の現地の人とのちょっとした会話もNGで、買物も亭主同伴でないとこなせない。それはそれで存在感を示し、荷物整理の負目をカバーする絶好の機会ではある。
 日常生活での価値観の相違はいかんともしがたいものがあるが、それぞれの得手不得手をカバーしあえるパートナーである。

初夏の生き物たち2013年06月02日

 梅雨の合間の好天だった。初夏の早朝6時過ぎの外気は、少しばかりのヒンヤリ感はあるが爽快ですがすがしい。そんな天候に気を良くしながら住宅街を抜ける坂道を降りていた。片側に植えられた桜並木の緑が鮮やかだった。
 突然、目の前に何やら小さな長細い物体が現れて顔にぶつかりそうになった。瞬間的に顔を反らして躱した。振り返って見つめた先に枝先から糸を引いてぶら下がっている黄色い縞模様の毛虫がいた。アブナカッタ~ッ!避けきれずに顔に当たって毛に刺されていたら湿疹や腫れができてたかもしれない。
 有馬川沿いの土手道の名来橋を超えたところにやってきた。ここも片側はさくら並木である。そこで視線の先の毛虫をいち早く見つけた。学習効果はバッチシである。糸を引いてぶら下がっている5cm程の黒っぽい毛虫だった。
 有馬川土手道の突当りで折り返した。愛宕橋南側の川岸に一羽の野鳥が佇んでいた。セキレイのようにも見えたが、焦げ茶色の羽根の色は見たことがない。尻尾の長さもセキレイより短い。ヤッパリ初めて見る野鳥に違いない。名も知らぬ野鳥を自宅でネット検索したが分からなかった。
 姿を見えないが、ウグイスの鳴き声もひっきりなしだ。この時期のウグイスは、成長途上の幼な鳥が多いようだ。鳴き声は驚くほどスベッテいる。ずれた鳴き声もまた楽しい。田植を終えたばかりの水田からは、カエルの雨乞いの鳴き声が聞こえ始めた。
 初夏の散歩道で生き物たちが懸命に生きていた。

3D番組を初めて観た2013年06月03日

 一昨日の土曜日の夕方、何気なくBSーTBSのテレビ画面を観ていた。「只今から3D映像がご覧頂けます」みたいな文字放送が映った。すっかり忘れていたが、一般放送で3D番組があったんだ。
 昨年8月に46インチの液晶テレビを購入した。店頭で3D映像を視聴して3D機能付のモデルにした。購入後、レンタルビデオ店で借りた3D映画のDVDを、一緒に購入したブルーレイ・ディスクレコーダーで観た。熱しやすく冷めやすい性質である。以降、3D映像のことは関心の埒外になっていた。
 一般放送の3D映像の情報を得て、すぐに3Dメガネを接続しTVリモコンを設定し3D映像を映し出した。「THE世界遺産3D・日光の社寺」という番組だった。奥行きのある美しい映像を見ながらふと思った。3D映像の番組は録画できるのだろうか。すぐに録画設定して番組終了後に再生した。何と見事に3D映像が再生されていた。しかも早送りしても3D映像のまま早送り状態で映っている。たいしたもんだと感心しきり。
 ネットで3D番組を検索したら、この「THE世界遺産3D」という番組はシリーズ番組で毎週土曜17時30分から18時まで放映されていることが分かった。すぐに毎週の予約録画を設定した。新たな楽しみができた。ちなみにデジカメで写したテレビ画面はメガネなしで目にする左右にぶれた3D画像である。

初物・・・朝取り筍2013年06月04日

 早朝6時過ぎ、梅雨中休みの青空の下を歩いた。名来橋北側の有間川堤には、自生の竹藪が続いている。梅雨入りの季節は、土の中から筍が顔を出し一気に成長する季節でもある。
 やっぱり筍たちが笹の青葉の蔭から頭を出していた。10cm~30cmほどの筍の姿ががあちこちで目に入った。採り入れには少し早そうだ。奥まったところに一本だけ60cmばかりのひょろ長い筍が一際目立って伸びていた。家内は無類の筍好きである。路傍の筍の所有権が誰に属するのか知らない。看板等の表示もない。ご近所さんもしばしばここで収穫していると聞く。マッ!いいか!その一本を根元で折って手に入れた。筍を手にバツの悪さを隠して帰路を急いだ。
 帰宅後に家内が茹でてアク抜きをしていた筍が、夕方には味付けされて出来上がった。鍋の中のアツアツの筍を摘み食いした。ウマイッ!驚くほど柔らかくて甘い。獲れたての旬の味である。自ら収穫したものだけにその想いはひとしおだった。

社協ボランティア研修会「高齢者の食事」2013年06月05日

 今日、社協のボランティア研修会が住宅街隣接の介護老人福祉施設・山口苑で開催された。広報紙の取材を兼ねて参加した。会場の山口苑は、今は亡き母が晩年の一時期にデイサービスやショートステイでお世話になった施設だった。当時私は多忙な現役生活の真っただ中で施設を訪ねる機会を持てなかった。そんな背景もあり、一度は訪ねたかった施設だった。
 11時から始まった研修会は「高齢者の食事」をテーマにした山口苑の管理栄養士である若い男性のパワーポイントによるプレゼンだった。高齢に伴う身体的な衰えが食事に影響を及ぼす。食べられない、食事がまずい、食欲がない等々。そのため低栄養となり、体重、筋肉、免疫力の低下や脱水症状を招く。転倒や骨折が多くなり、病気になりやすく治りにくい。また高齢化に伴う咀嚼力、嚥下運動の低下で誤嚥が生じやすい。そのため①自分に合った食事②トロミ剤の使用③食事の姿勢と介助の留意④口腔ケア(嚥下体操など)などの誤嚥予防が必要。といった内容だった。続いて、山口苑スタッフによる嚥下体操の指導やトロミ剤使用のウーロン茶の試飲があった。
 1時間ほどの研修の後、スタッフの案内で施設見学をした。開苑20年の比較的古い施設である。約半分が個室で4人部屋、2人部屋も多い。社協のボランティアも大勢活動する施設でもある。も昼食時間中の広い食堂には大勢の入所者の食事風景が見られた。それは10数年前に母がいた筈の風景であり、場合によっては何年か後に私がいるかもしれない風景だった。そんな想いに駆られながら施設内を巡った。

住宅街のウグイス2013年06月06日

 曇り空の早朝散策だった。自宅を出て住宅街を歩いていた。突然、頭上からウグイスの鳴き声が降ってきた。決して音痴でないのど自慢のウグイスの鳴き声だった。
 見上げると、電線に一羽の黒っぽいウグイスが止まっていた。しきりに前後左右に体を動かしながら鳴き続けていた。人に気配に敏感すぎるウグイスにしては珍しく飛び立つ気配はない。すぐにデジカメを構えた。「そのまま、そのまま」と呪文を唱えながらシャッターボタンを何度か押した。
 住宅街に現れたウグイスの画像をキャッチできたことに気を良くしながら散歩を続けた。

眠る力2013年06月07日

 早朝、ベッドで目が覚めた。ベッドサイドの置時計のデジタル表示は、4時5分だった。昨晩は10時半ごろに就寝した筈だ。たった5時間半の眠りだったのかと内心で呟いた。
 加齢に伴って年々睡眠時間が短くなっている。睡眠時間帯が前倒しされ早寝早起きが加速する。9時過ぎに眠気に襲われたり、3時過ぎに目覚めたりする。加齢に伴って睡眠時間が短くなったり、眠が浅くなったりするのはごく自然な現象のようだ。生命維持のための最低限のエネルギー量である基礎代謝量自体が加齢によって減少するのだから当然といえる。「眠る力」を思い知らされる。
 今朝も早い目覚めに一瞬二度寝をしようかと思ったが、すぐに断念した。これまでも何度か試みたが眠りに落ちた試しはない。1階のリビングに降りていつもの一日が始まった。着替え、パソコンチェック、朝食、洗顔、新聞取込みといった一連のルーティンをこなして、5時過ぎに早朝散策に出かけた。
 夜明けのすがすがしい空気に包まれた散策を終え、マクドナルド前に着いたのは5時45分頃だった。モーニングコーヒーと読みかけの文庫本の読書の楽しみが待っているはずだった。ところがナント24時間営業のマックが閉まっている。「メンテナンスのため0時から6時まで閉店します」の貼り紙を恨めしく眺めて帰路に着いた。
 「眠る力」の衰えに八つ当たりした。

いざ!北欧フィヨルド3カ国周遊10日間2013年06月08日

 2年ぶりの海外ツアー出発の日である。家内の手で大型スーツケース2個に旅の準備がすっかり整えられた。私が関与したことと言えばデジカメ関係の機器、変圧器、メモ、文庫本などの類である。後は、マイカーの関空駐車のネット予約位のものだ。こちらはいつも「何日預けても5千円」のパシフィックパーキング関空を利用している。10日間もの旅支度をこの程度で済ませられるのも良き伴侶の賜物というほかはない。
 フライトは23時45分関空発のカタール航空深夜便である。サッカー日本代表がすでに現地入りしているドーハで乗り継ぎ、ストックホルムまでの17時間余りのフライトである。
 地域ボランティアでの高齢化取組み、ミュージカル劇団の後援会活動、労働委員会業務、公民館講座の準備と、リタイヤ生活がこのところ多忙になってきた。つかの間の海外ツアーのひと時を存分に愉しんでこよう。

北欧の旅①「ドーハからストックホルムへ」2013年06月09日

 北欧の旅の出発の日、午後6時20分にマイカーで自宅を出た。関空には午後8時に到着し、待ち受けた駐車サービス業者に車を預けた。4階出発ロビーの集合場所には定刻の1時間半以上前に着いた。添乗員の待つカウンターで1番乗りの手続きを済ませ、現地通貨の両替をする。今回滞在の3カ国の通貨の円レートは、スウェーデンクローナ17円、ノルウェークローネ19円、デンマーククローネ19.4円だった。
 帝国15分前の深夜11時30分に搭乗便のカタール航空0803便が離陸した。乗継空港のカタールの首都ドバイまで10時間45分のフライトだった。カタールというアラビア半島東部のペルシャ湾に面したカタール半島全域を領土とするに小さな国家を初めて知った。おりしもドーハにはサッカー日本代表が2日後のW杯アジア最終予選対イラク最終戦で滞在中の筈だった。このトランジットで初めてツアー仲間の全貌が明らかになった。総勢38名でリタイヤ夫婦11組、女性2人連れ8組である。以降9日間ものツアー日程を通じてこの面々が繰り広げる様々なドラマを共有することになる。4時間余りのトランジットはもっぱら空港内の免税店で帰路のお土産の物色に費やされた。
 8時45分ドーハ発カタール航空0089便が6時間35分のフライト後にスウェーデンの首都ストックホルムのアーランド国際空港に到着した。時差7時間で現地時間午後2時20分だった。
 驚いたのは携帯スマホの機能だった。国内設定のまま持参したがスマホ表示の時刻は自動的に現地時間に切り替わっている。マップ機能もそのまま現地情報を読み込んでくれる。家内との携帯通話も問題なくつながった。これに気を良くしてスマホをいじっていたのが後で手ひどいしっぺ返しを受けることになる。
 空港で待ち受けた専用バスに乗車し、ストックホルムの市内観光に向かった。最初に向かったのは旧市街ガムラ・スタンの中心「王宮」である。正装に身を包んだ衛兵が三階建の堂々たる王宮の入口をガードする。そのすぐそばに「大聖堂」や「ノーベル博物館」が位置している。博物館前の石畳に覆われた「大広場」はいかにも中世という香りを漂わせた情緒ある風情だった。次に訪れた「市庁舎」は、毎年12月に開かれるノーベル賞受賞祝賀晩餐会の会場でもある。昨年の山中教授の受賞で臨んだ会場の記憶が新しい。市庁舎南側は入江が広がり対岸のガムラ・スタンの美しい街並みが展望できる絶好の景観だった。
 所定の観光を終えて、夕方6時頃に最初の宿泊ホテル「クオリティー プリンス フィリップ」に着いた。シャワーを浴びて臨んだバイキングスタイルの夕食は期待を大きく裏切るものだった。品数が少なくそれぞれが貧弱だった。夕食後、歩いて10分余りのショッピングセンターに出かけたものの見るべき風景もない収穫のない散策だった。初日のホテルの不本意な印象に先行きを心配しながら10時過ぎには長い一日を終えて眠りに着いた。

北欧の旅②「ストックホルムからオスロへ」2013年06月19日

 北欧での初めての朝を迎えた。ホテルの朝食は夕食同様バイキングだったが、品数はむしろ増え少し溜飲を下げた。7時にホテルを出発しバスでストックホルム中央駅に向かった。
 8時29分発のスウェーデンとノルウェーの両首都を結ぶオスロ行き国際列車に乗り込んだ。2等車ながら6時間20分の列車旅は天候にも恵まれ快適だった。乗車時に配られた焼き鳥りとサンドイッチの弁当を味わいながら、北欧らしい車窓の景観を愉しんだ。
 オスロ中央駅は国際フェリーの発着する入江に面した近代的な建物だった。隣接する白亜の優雅なホテルが印象的だ。現地ガイドの中年女性も乗り込んですぐに市内観光のバスが発車した。
 市内中心部のオスロ大聖堂や王宮を車窓から眺めながら、最初の観光スポットの「フログネル公園(ヴィーゲラン公園)」に着いた。ピクニックエリアや菩提樹の並木道に囲まれた広大な彫刻公園だ。夏のバカンスに入った直後の公園には犬たちを連れたファミリーのピクニック姿が目についた。中心にあるモノリッテンと呼ばれる円柱の石像には121体もの人間が刻まれている。その周囲を囲む老若男女の裸体彫刻の生々しい迫力は見る者をたじろがせ考え込ませてしまう。
 市庁舎を車窓から眺めてしばらくすると次のスポット「オペラハウス」に着いた。5年前にオスロ中央駅のすぐ南の海辺に建てられたオスロのランドマークである。広大な白の斜面が独特の造形をかもしている。建物正面には公演中のメインダンサーたちの紹介看板があり、何人かの日本人の写真が掲載されている。このオペラハウスの前に広がる湾がオスロフィヨルドだという。何の変哲もない湾は初めて見るフィヨルドの実感の薄いものだった。
 午後6時頃にオスロ郊外ラスタのホテル「トーン・トライデン」に着いた。昨晩の夕食からは少しレベルアップしたバイキングの夕食を終え、隣接のショッピングセンターに出かけた。清潔感のある部屋のベッドで眠りに就いたには午後10時過ぎだった。