函館&青森の旅(その3)2013年10月01日

 ツアー三日目の朝も5時過ぎに薬研温泉のホテルで目覚めた。秘湯温泉で二度目の入浴を済ませて6時頃には朝の散策に出かけた。フロントで薬研渓流のガイドマップを貰い、ホテル前の県道の北側を流れる薬研渓流を散策した。30分ほど歩いてようやく「大滝」の絶景を目撃し、「乙女橋」の吊り橋を往復した。予想外の距離に少し狼狽しながら急いで帰路に着いたが、7時の朝食に10分遅れで到着した。
 8時にホテルを出発したバスはさっき見たばかりの薬研渓流の大滝付近を下車見学し、今日のメインスポットの恐山に向かった。下北半島の斧の中央部に位置する日本三大霊山のひとつ恐山には8時45分頃に到着した。1200年前に慈覚大師円仁によって開基された霊場である。バスを降りると背後を低い山並みに囲まれた広大な境内に建つ堂々たる伽藍が目に入った。本尊の地蔵菩薩にちなんで左手に大きな六大地蔵の石像が建っている。恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした外輪山の総称で、恐山という名の山はない。
 総門をくぐり、左右に石燈籠の並ぶ長い参道の先に山門がある。山門左手に本堂があり、山門先の左右に湯殿が建っている。霊場内に湧き出る温泉を利用した参拝者用の湯治場でもある。山門から更に続く参道の先に、本尊の延命地蔵菩薩を安置した実質的な本堂ともいうべき地蔵殿の威容が建つ。地蔵殿左手から順路に沿って霊場巡りを始めた。荒涼とした地肌の霊場のここかしこに小石の山が積み上げられている。毒々しい赤い風車が風を受けて回っている。硫黄のにおいが鼻につく。まさしく地獄をイメージさせる光景が目前に広がっていた。無間地獄、大師堂、先手観音、水子供養本尊などを経て八角堂に着いた。お参りしようと格子戸を押して堂内に足を踏み入れた途端に異様な雰囲気に包まれた。正面の着衣の本尊の左右に使い古した衣類の数々が積み上げられている。故人の遺品を遺族たちが納めたもののようだ。宇曽利湖畔には真新しい震災慰霊塔が建っている。昨年7月に建立された東日本大震災の慰霊碑である。湖畔から五智山展望台を回り本堂横に出た。本堂で参拝を済ませて総門前の集合地に急いだ。
 恐山を後にして下北半島の東海岸沿いに最北端の大間崎に向かった。大間崎の海岸淵に建つ展望台には、「本州最北端の地」の石碑と「まぐろ一本釣りの町・大間」のモニュメントが建っていた。快晴の空の下、20kmほど先の函館山、五稜郭タワーなどの函館の風景が展望できた。お土産屋の並ぶ一角を抜けて駐車場に着いた。すぐそばで美味しそうなまぐろの心臓焼きや殻付き生ウニを売っていた。小屋の中で早速一個500円の生ウニを味わった。何とも言えないコクのあるとろけるような大粒のウニだった。
 大間崎から5kmほど南に下った佐井村の「津軽海峡文化館アルサス」の「まんじゅうや」という店で昼食をとった。イクラ、ウニ、まぐろの海鮮丼だった。大間崎に戻り、函館フェリーに乗船した。函館~青森間を往路は青函トンネル、復路はフェリーという趣向である。1時間40分の航路を一眠りしたり、風景を楽しんだり、仲間とおしゃべりしたりして過ごした。函館港から手配のバスで函館空港に向かい、17時20分発のANAに搭乗し関西空港に向かった。関西空港からは手配のバスに乗車し、車中で関空のサブウェーで調達したサンドイッチで夕食をとり、山口には予定通りの9時15分頃に到着した。二泊三日の懇親ツアーの幹事役からようやく解放された。

民生委員の高齢者実態調査を終えた2013年10月02日

 民生委員の秋の恒例の取組みである高齢者実態調査をようやく終えた。9月中旬から延10日間ほどをかけて170世帯265名のお年寄り宅を訪問した。
 今年は、通常の日常生活の様子を伺うだけでなく、安心キットのご利用案内というテーマがあった。それだけに「安心キットとは何か」から始まる説明に時間を要した。それでも実際に話しをすると多くの方がその場で申込書に氏名、住所を記載して手渡された。その結果、最終的に担当地区では85世帯136名の申込みがあった。それぞれ50%を超える申込み状況だった。
 今年も新たに37名の方が高齢者の仲間入りをされた。自分自身の経験でも65歳という年齢から高齢者と呼ばれることに抵抗感がないわけではない。新人高齢者と初めて顔合わせした時は、民生委員の名乗りあげた後、即座に告げることにしているセリフがある。「嫌ですよね~。他人から65歳になったことを告げられるのは」。初対面の相手の気持に寄り添った言葉から会話を始めることが要諦のひとつであることを、過去5回の経験から学んでいた。
 民生委員の高齢者実態調査が、高齢化する地域社会の実態を把握する基礎的活動であり、安心キットの利用案内を通じて高齢化社会をサポートする機能も合わせ持った活動でもあることをあらためて実感した。

秋色2013年10月03日

 忙しかった9月がようやく通り過ぎた。労働委員会関係の仕事が10日間にも及んだ。民生委員の高齢者訪問も10日前後を要した。事務局を担当している劇団後援会や安心キット導入準備会の実務処理と会議も相次いだ。最後にやってきたのは幹事役を務めた2泊3日の懇親ツアーだった。とはいえ60代後半の身にはありがたいことである。それはリタイヤ後の居場所の多さを意味しているのだから。
 今日から5日ばかり空白の予定表が続く。予定のない日は朝の散策で歩数を稼ぐことにしている。落ち着いた気持ちで眺めた散歩道は、すっかり秋色に染まっていた。
 有馬川東側の稲田では刈り取られた稲茎から次の苗が芽吹いて田圃を緑に染めていた。さくら並木の黒ずみはじめた紅葉が落ち葉の手前で踏んばっていた。並木の下で揺れているススキの穂先で落ち葉が土手道の縁取りをしていた。隣町の稲田では、刈り取られたばかりの稲のはざ掛けの向こうで黄金色の稲田が刈入れを待っていた。
 秋色に染まった散歩道を愉しんだ。

日テレ「ダンダリン 労働基準監督官」2013年10月04日

 2日にスタートした竹内結子主演の連続ドラマ「ダンダリン・労働基準監督官」を観た。労働基準監督官という一般にはなじみの薄い仕事に焦点を当てた番組であるが、個人的には労働委員会の仕事ともかぶる部分があり、興味をそそられた。「とんたにたかし」原作の漫画『ダンダリン101』(ダンダリンいちまるいち)のテレビドラマ化である。
 働く人を守るルールを遵守させるために融通の利かない女・労働基準監督官・段田凛(だんだ・りん)が、立ち上がる!「ブラック企業」「名ばかり管理職」など最近話題の「お仕事問題」に斬り込む、異色のお仕事エンターテインメントであるという。
 第1話を見終えての感想はドラマ自体に特筆すべきものはなかったが、夜10時から1時間というプレミアム時間帯に、よくぞこうしたテーマのドラマを放映したという点で拍手を送りたい。
 同時に、こうした内容のドラマが視聴者の多い時間帯になぜ放映できたかを考えさせられた。要するにこうしたテーマに関心を寄せる視聴者が多いという現実があるということだ。それほどに今日の企業社会は病んでいる。病んだ企業社会の実態を肌で感じながらサラリーマンたちは現場でもがいている。そして「ダンダリン」を観ながら「その通り!」と拍手するが、現実には立ち上がれないもどかしさに苛立ってもいるのではないか。第1話を通してそんなメッセージを受け取った。
 先日、地域の懇親ツアーの幹事をしてある大手旅行会社の正社員の添乗員と雑談した。24歳の独身でイケメンである。4人目の彼女と半年前に別れたという。24歳で4人目?なんとチャラチャラした奴だと一瞬思ったが訳を聞いて納得し、同情もした。彼女はできるが続かないのだ。サービス残業が大半の長時間労働で休日もろくに取れない。付き合い始めても会える時間がないから疎遠になって彼女の方から去っていく。途中からは自分自身も疲れ果てて会う時間を作る余裕を失くしてくる。今日のサービス業界はどこも似たようなものだという。
 結婚できない若者たちの切実な背景を垣間見た。草食系男子のふがいなさなんぞではなかったのだ。若者たちが結婚できない環境を大人たちが寄ってたかってつくり出している。少子化の根源もここにあるといえよう。
 身近なところにをダンダリンに拍手を送るだろう視聴者がいた。

マクドナルドの接客マニュアル2013年10月05日

 リタイヤ後、早朝散策の帰路に最寄りのマクドナルドでモーニングコーヒーを飲むのが習慣になった。現役時代の出勤直後の自販機コーヒーの習慣が尾を引いていた。早朝6時前後にコーヒーにありつけるのはマクドナルドしかなかったし、一杯100円のコーヒーは毎日の出費を思えばありがたい。ここ5年ばかり、旅行などで早朝散策が叶わない日を除いてほとんど毎日通っている。
 通常はコーヒー一杯だけで15分ばかりを文庫本を読んで退散する。たまに朝食を抜いた時などは朝マックを利用する。その場合は、たいてい200円のソーセージマフィン&コーヒーのコンビである。今朝ふとレジの背中を見ると期間限定の「マックトースト」のポスターが貼ってある。新しいもの好きでは人後に落ちない。朝食は済ませていたが、即座に200円のコンビを注文した。
 ところで5年も通っていると、店のスタッフとも顔なじみとなる。この時間帯に接客してもらうスタッフも限られる。半年ほど前に採用された30代の女性は、常連さんにもいつまでたってもマニュアル通りの対応しかできない。砂糖だけの私に対し「お砂糖とミルクをお付けしてよろしいですか」と毎回声を掛け、私に「砂糖だけ」という返事を強要する。更にレシート不要の私に「レシートをどうぞ」と差し出し、レシートの受取りを強要する。いつになったらこの人は常連の意向を汲んだ本来の接客ができるのだろうとイラッとしてしまう。
 50代のベテランのおばさんが接客する場合もある。彼女の場合は客に応じて柔軟な接客ができる。黙っていてもミルクはつけないしレシートも渡さない。それでいてちょっとした挨拶などの声掛けもある。接客業はこうでなければ。
 今日の接客はおばさんだった。マックトーストの出来上がりまで少し時間がかかりそうだとみると、番号札をトレーに置いて「後でお持ちします」と声を掛けられた。待つまでもなく届けられたマックトーストのチーズとハムを薄めのバンズに挟んだヘルシーな味わいを愉しんだ。

娘の里帰り2013年10月06日

 一昨日の夜から滋賀県に嫁いでいる娘が里帰りしている。結婚前から通っていた歯の継続治療のためだ。娘の里帰りとなる家内は俄然元気づく。昨日、朝の歯医者に出かけた後、そのまま一日母娘でショッピングに出かけた。
 帰宅したのは4時過ぎと意外と早かった。久々の娘を交えた食卓に鶏の唐揚げと野菜の天ぷらで飾ろうということになったようだ。久々の手の込んだ夕食で、意外と早かった帰宅の理由である。夫婦二人の食卓では中々お目にかかれなくなった献立のひとつである。娘の里帰りのおこぼれにあずかれると喜んだ。
 久々の親子三人の夕食の話題のひとつに朝マックのマックトーストが結構おいしかったと話をした。「私も食べてみたい」「私も」と家内と娘が口々に言う。お安い御用である。そんなわけで今朝の早朝散策の後立ち寄ったマクドナルドで帰り際に「マックトースト三個の持ち帰り」を注文した。5年間ものマック通よいで初めて「持ち帰り商品」を手に自宅に向かった。
 母娘の8時過ぎの遅い朝食につきあい三人一緒にマックトーストを分け合った。特段のコメントはない。それでも夫婦二人だけの高齢世帯になって時折訪れる非日常のひとコマに違いない。2時半頃に娘は家内に最寄り駅まで送られて帰宅した。我が家に高齢世帯の穏やかな日常が戻った。

仁木家の和のランチ2013年10月07日

 昨日の昼食は、里帰りを終えて帰宅する娘と三人で仁木家の和のランチ(2300円)を愉しんだ。我が家から徒歩10分以内の有馬川仁木家に12時過ぎに着いた。
 案内された窓際の席でリーズナブルなコース料理でたっぷり1時間ばかりを味わった。自宅の昼食ではこうはいかない。家族全員総じて早食いなのである。会話を楽しむ間もなくあっという間に食事を終えてしまう。その点、コース料理は出される料理の合間にいやでも会話をすることになる。里帰り中、母と娘は四六時中一緒で思い切りおしゃべりを愉しんだ筈である。勢い最後の昼食は父と娘の会話がメインとなる。そういう点でもお手軽で美味しいなランチの店がオープンしたのは有難い。
 さてお食事である。1番バッターは地元山口の獲れたて生野菜の盛り合せである。生茄子の甘みがひと際美味しかった。続いて竹籠に入った煮物野菜の先付が登場。竹の里・山口向けの演出だろうか。野菜と鯖寿司などの八寸とかぼちゃ冷スープ、野菜の天ぷら、メインの合鴨料理、かぼちゃご飯とタップリねぎの味噌汁と続き、チーズケーキのデザートとコーヒーで締めた。

ジェフリー・アーチャー著「十二枚のだまし絵」2013年10月08日

 ジェフリー・アーチャー著「十二枚のだまし絵」を読んだ。2カ月ほど前にブックオフでまとめ買いした文庫本の1冊である。40歳前後の頃、外国人作家の小説に夢中になった時期がある。とりわけジェフリー・アーチャーは、最も好きな作家だった。処女作「百万ドルを取り返せ!」や代表作「ケインとアベル」「ロスノフスキ家の娘」など10数作品をたっぷり愛読した。
 ジェフリー・アーチャーは、1940年生まれのイギリスの存名中の作家である。投資に失敗して全財産を失くしたり、上院議員や下院議員を務め、スキャンダルにまみれて議員辞職したり、偽証罪で実刑判決を受け服役したりといった波乱万丈の人生である。そんな彼は自身の波乱万丈を素材として巧みに掬い取りながら見事な作品に仕上げてしまう。良くも悪くも才能豊かな傑物である。
 「十二枚のだまし絵」は彼の数少ない短編集のひとつである。12の長短織り交ぜた短編が収録されている。面白かったのは、巻頭の「試行錯誤」と巻末の「焼き加減はお好みで・・・」の短編とはいえ長編に近い二作品だった。
 「試行錯誤」はビジネス小説の装いのサスペンス物語である。欧米人独特のウィットの効いた文体で描かれた物語性に富んだ作品である。「焼き加減はお好みで・・・」は、前半のこれまたユーモアに満ちたばかばかしいナンパ物語と、後半の辛口の結末から甘口の結末まで四通りの結末が用意された奇想天外な作品である。
 12の作品それぞれにきらりと光るものは感じられたが、この作家のエンタテインメント豊かな長編の面白さからは程遠い。やっぱり長編にこそこの作家の真骨頂があるのだろう。

公民館講座「有馬郡物語」の原稿づくり2013年10月09日

 11月20日に山口公民館で第9回目の山口風土記探訪講座を開催する。今年のテーマは「有馬郡物語」である。過去3年間に渡って5回の室内講座と3回の屋外散策講座を開講した。山口を対象としたテーマはほぼ語りつくした感がある。そこで担当の公民館講座推進員さんとも打合せ、近隣の町の風土記に目を向けることにした。
 「かつて山口は『摂津国有馬郡山口村』と呼ばれていた。有馬郡を構成した16村のひとつとして山口村は有馬郡と深い関わりを持っていた。有馬郡の概要と歴史を知り、その結びつきを繋いだ旧街道や鉄道、ゆかりの人物・有間皇子を紹介する」。次回公民館講座「有馬郡物語」の案内チラシの講座案内文である。
 全体の構想は固まったが中身はまだ詰め切れていない。パワーポイントデータによる原稿づくりが迫られている。残り1カ月半で仕上げてしまわなければならない。
 とはいえ、この作業は今抱えている多くの仕事や活動に比べもっとも楽しいものだ。老後の本来のライフワークともいうべき分野である。しばらくこの分野に力を注がねばならない。

学習用冊子「有馬川物語」2013年10月10日

 知人のfacebookで「みんなで語り、伝えよう!有馬川物語」という学習用冊子のインターネット版が紹介されていた。国土交通省近畿地方整備局六甲砂防事務所発行の冊子だが、作成は宮田神戸大学名誉教授を委員長とする学識経験者7名からなる六甲山系有馬川地域防災学習ゾーン検討委員会である。
 A4サイズの99頁に及ぶ冊子は、「私たちの住むまちの不思議」「私たちの住むまちの素晴らしさ」「私たちの住むまちの安全を考える」という3章で構成されている。第1章では、六甲山地の地形や断層、有馬川の概要が、第2章では、六甲山地の自然、まちの暮らしと歴史が、第3章では、自然の脅威と土砂災害、砂防事業、山やまちを守る地域の取り組みなどが紹介されている。有馬川流域の自然、文化、歴史、防災についての本格的な解説サイトと言える。しかもPDFファイルの全データがネットからダウンロードしてプリントできる。
 昨日のブログに、11月20日の山口公民館での第9回山口風土記探訪講座「有馬郡物語」のことを記した。「有馬郡の概要と歴史を知り、その結びつきを繋いだ旧街道や鉄道、ゆかりの人物・有間皇子を紹介する」と案内チラシに書いたが、有馬郡を繋いだ大きな柱に有馬川があったことは否定できない。ところが有馬川についてのまとまった資料がなく、講座内容に盛り込めなかった。
 今回の「学習用冊子・有馬川物語」はその意味では絶好の資料だった。早速、大部の資料をダウンロードし目を通した。これをベースに講座内容に「有馬川」を追加しようと思う。