秋さくらの樹に咲いた名残りさくら2014年05月01日

 有馬川堤のさくら並木はすっかり葉桜になっていた。並木の足元には花弁の茶色い茎のシートが敷き詰められている。瑞々しいさくらの緑の葉っぱを横目に新緑の散歩道を歩いていた時だ。突然、緑の並木の合間から薄ピンクの可憐な花弁が目に入った。
 季節外れの名残りさくらが数輪、一本の枝先に花弁を拡げていた。ソメイヨシノの花弁ではない。記憶の片隅に残る形状の花弁である。記憶を辿って思い出した。去年の晩秋に咲かせていたさくらの花弁と同じものだ。そう思ってみると秋さくらを咲かせた同じ樹だったと気づいた。http://ahidaka.asablo.jp/blog/2013/10/24/7021420 その異端のさくらが、今度は季節外れの名残りさくらを咲かせている。その小さな発見が少しばかり心を震わせた。

施設の24時間見守りサービス2014年05月02日

 所用があって山口地区の新興住宅地・すみれ台を訪ねた。その帰り住宅街で「セントポーリア愛の郷」の看板を目にしてそちらも訪問することにした。前回の民生委員の地区定例会でこの施設の高齢者向けの24時間見守りサービスの情報が紹介されていた。この際、パンフレットを貰っておこうと思った。
 予想以上に大きな立派な施設だった。受付で来意を告げると、「説明させてもらいますのでどうぞお入りください」とのこと。面談ルームに案内され、担当者から資料をもとに説明を聞いた。山口地区在住の高齢者が対象で、①週一回の訪問見守りサービス②関係機関に連絡・調整する「相談支援サービス」③利用者の緊急通報にかけつけて援助する「緊急援助サービス」の3つの安心サービスが提供される。利用料金は月額606円(見守り携帯貸与費)と破格の安さである。受け入れ態勢とのバランスもあり、定員10名で事業を始めたとのこと。スタートしたばかりまだ定員を下回っているようだ。
 民生委員の高齢者訪問の際に、一人暮らしで持病を抱えたお年寄りの安否確認はいつも気になっている。市のNTT回線を利用した「緊急通報救助事業」(機器利用料月額380円)の紹介が可能だが、ご近所の2名の福祉協力員の登録や機器設置工事が必要であり、結構ハードルは高い。これに比べると民間施設のこの事業ははるかに簡便で利用勝手がありそうだ。担当する地区の気になるお年寄りへの情報提供のひとつに加えようと思った。

GWの我が家2014年05月03日

 ゴールデンウィーク真っ只中である。リタイヤ生活に入って世間のカレンダーとは距離を置く生活になった。それでも子供たちの帰省という形で世間のカレンダーが我が家にも押し寄せる。
 息子夫婦は4日前の祝日に東京からマイカーで帰ってきた。渋滞は全くなく休憩を含めて7時間ほどのドライブだったという。娘夫婦はこちらも車で2日前に滋賀から帰ってきた。
 二組の夫婦はそれぞれの予定をこなして我が家に居つくことは少ない。昨晩遅くようやく顔を揃えた。今朝もそれぞれのスタイルで起床し、別々に朝食を摂っている。そんな二組に個別にサポートするのは専ら家内の役割だ。オヤジが関わることは少ない。オヤジはオヤジでマイペースに過ごしている。
 それでも今晩の夕食はようやく三組の夫婦が顔を揃えた。GW中、大人6人の家族が初めて一緒に食卓を囲む場となった。一カ月ほど前に知人から1kg近くの冷凍の鹿肉を貰った。老夫婦だけでは手におえない。GWに帰省する子どもたちとの食卓に提供することにしていた。ホットプレートに家内と娘がたれで漬け込んだ鹿肉が乗せられた。焼くにつれ立ち込める独特の匂いに誰も手を付けようとしない。ここは提供者の務めだろうと一番に口にした。脂身の全くないどちらかと言えばレバーに似た食感の味の薄いお肉だった。決して歓迎された食材ではなかったが、誰もが初めて口にする珍味に食卓の話題が盛り上がった。
 こんな風景も長い人生の家族が交錯し合う束の間のひとコマなんだろうとふと思った。

船坂のスリランカ料理「リトル ランカ」2014年05月04日

 GWで帰省中の子どもたちがUターンする日である。息子夫婦は昼過ぎには出発するという。夫婦三組で昼食は外食することにした。かねて行ってみたいと思っていた店がある。昨年オープンしたばかりの船坂のスリランカ料理の「リトル ランカ」である。
 11時45分頃に到着した。2台しかない駐車台数を埋めて山小屋風の内装の店内に入った。いかにもスリランカ人といった男性と女性に日本人女性の三人のスタッフに迎えられた。GW中は、Aランチ(1480円)、Bランチ(1950円)と単品のカレーが二種類だけのメニューだった。A、B各三つをオーダーした。価格もGW中で幾分高くなっている。(平常はAランチ1350円、Bランチ1750円)
 最初にマンゴージュースとBランチのスリランカ風の前菜三種(春巻、餃子、肉の佃煮風)が運ばれた。これを見てすかさずライオン・スタウトという銘柄のスリランカの黒ビール(600円)を独りだけ注文した。続いて野菜サラダ、イエローライス、パパダン(スリランカの薄いパリパリせんべい)の盛られたお皿とお皿のカレー、ロティ(スリランカ風ナン)がやってきた。しばらくして最後の料理であるもう一種のカレーが出てきた。その後、ココナツソースをかけたヨーグルトのデザートにセイロン・ミルクティのドリンクで〆である。予想に反して香辛料の刺激の少ない口当たりの良い味だった。本場のスリランカ料理を幾分日本人向けにアレンジされているのかもしれない。
 帰り際にカウンター越しにスリランカ人の若いマスターとおしゃべりした。5年間に日本に来て広島からこちらに移り住んだという。スタッフの日本人女性が奥さんだという。スリランカ人女性は、日本人と結婚し名塩に住む人で、お客さんで来店した際に頼み込んでスタッフになってもらったとのこと。明るくておしゃりり好きの気の良いマスターだった。

そして二人の生活に戻った2014年05月05日

 昨日の家族6人が揃った外食ランチの後、東京まで戻る息子夫婦を見送った。夕食後、高速の渋滞情報が少し緩和された頃合いをみて娘夫婦がUターンした。子どもたちの帰省がもたらした慌ただしい6日間があっという間に過ぎ去った。
 今朝、いつものように早朝散策に出かけて帰宅した。リビングに家内の姿はない。無理もない。子どもたちの世話から解放されて久々に朝寝をむさぼっているに違いない。
 昼食も昨日からの残り物で独りで済ませた。家内はご近所さんと買物にでかけた。いつもの夫婦二人のそれぞれのマイペースな静かな生活が戻った。

北方謙三著「絶海にあらず」下巻2014年05月06日

 北方謙三著「絶海にあらず」下巻を読んだ。平安中期に瀬戸内海を舞台に乱を起こした藤原純友を主人公とした物語である。上巻では伊予掾に任ぜられ、伊予に赴任した純友が、海こそが自分の生きる場所と定め、海の民として生きることを決意するまでが描かれている。
 下巻では、海の民として生きることを決意した純友が、藤原北家の支配する朝廷に何故、どのように抗してその水軍と対決するに至ったかをつぶさに描いている。
 北方謙三の歴史小説には、山の民や海の民などの虐げられた漂泊の民がしばしば登場する。著者の物語のモチーフには、そうした民に象徴される時の権威や権力から抑圧され排除された人たちへの限りない共感がある。「純友の乱」とは、そうした民のやむにやまれぬ権力との闘いとして描かれる。
 読み終えて興味深いテーマについての著者のスタンスを知った。ひとつは同時期に発生した「平将門の乱」と「藤原純友の乱」との関わりだ。「承平天慶の乱」と総称される二つの乱は、将門と純友が共同謀議して朝廷に反乱したとする説がある。著者はこの共同謀議説を一顧だにせず、将門の乱はあくまで一族間の私闘だったとし、純友の乱は藤原北家の支配に抗した民の闘いという立場をとる。
 上下2巻の900頁にも及ぶ長編の歴史小説を心ゆくまで満喫した作品だった。

渡辺貞夫「JAZZ SAMBA DE-LUXE」2014年05月07日

 2月末に労働委員会委員を退任して2カ月が過ぎた。文字通り完全リタイヤの身となった。そして迎えたゴールデンウィークだった。世間のカレンダーには距離を置く身ながら、関わりを持つ地域活動もこの時期やっぱり活動を休止する。その結果10日間にも及ぶロングバケーションがもたらされた。明日以降、社協やボランティアコーディネーターや劇団関係の会議や活動が再開する。
 その休日の最後の日をどこにも出かけず自宅で寛いだ。録画していたビデオを再録し、読みかけの文庫本を手に取り、そして古いLPジャケットを聴いた。最近購入したマルチ・オーディオ・システムで聴いたたナンバーは、渡辺貞夫の「JAZZ SAMBA DE-LUXE」である。音楽に親しんだことのない私が、学生時代に唯一好きになったジャンルがジャズだった。とりわけサックスが好きだった。ジョン・コルトレーンのヘビーな演奏に浸ったり、渡辺貞夫のボサノバのノリにスイングした。
 そして今、マシュ・ケ・ナダ、いそしぎ、イパネマの娘、黒いオルフェ、ウォーター・メロン・マンなどのスタンダードナンバーがナベサダのアルト・サックスの軽快な演奏に乗って流れている。40年前の青春を思い起こさせる老後の至福のひと時を過ごした。

三田市立図書館2014年05月08日

 昨日、家内と一緒に三田市立図書館本館を訪ねた。6月末に市民ミュージカル劇団『希望』後援会主催で、講演会「有間皇子を訪ねる会」を開催する。その中で私も「有間皇子の有馬郡の足跡」についてプレゼンする。プレゼン用のテキストづくりの資料収集のための図書館訪問だった。
 家内は、マイカー車内用の音楽CDやクッキング関係の図書貸出しでしばしば利用しているが、私は初めての訪問であり利用カードも保有していない。平日午後で館内は比較的すいていた。郷土史関係の書籍の棚を訊ねると、一番奥のガラス壁に囲まれた部屋を教えられた。部屋の入口には係員が常駐し、バッグは入口前のコインロッカーに預けるよう求められた。何やら物々しい。
 借りたかったのは、有間皇子ゆかりの三田・金心寺についての記述のある書籍だった。係員にリクエストすると何冊かを紹介されたが、有間皇子に関する記述は見当たらない。三田市史の第一巻通史編1に関連する記述を見つけた。ところが貸出し用の書籍は出払っており現物は貸出しできないとのこと。出直すことにした。
 初めて訪ねた三田市立図書館は、当然ながら西宮市立図書館山口分室よりはるかに大きく蔵書数も格段に多い。ライフワークの風土記執筆に今後利用勝手のある施設のひとつである。

有馬郡の郷と荘の配置図2014年05月09日

 昨日訪ねた三田市立図書館で、三田市史第一巻通史編1を閲覧した時、すぐに目に留まった地図がある。134頁に掲載された「図31 有馬郡における郷と荘園の分布案」と題された有馬郡地図である。
 残念ながらこの書籍の貸し出しは叶わなかったが、係員の許可を得てデジカメに納めることができた。帰宅後、あらためて画像をみて、知りたかった有馬郡内の「郷」と「荘」の配置と分布状況を知った。同時にこの有馬郡の地図が「有馬郡誌」掲載の地図と少し違うような気がした。
 有馬郡誌掲載の地図を加工した図と比べてみた。郡誌掲載の地図には記載のある春木郷、大神郷、忍壁郷、羽束郷、幡多郷の5郷の内、羽束郷がすっぽり抜けている。地図の注釈には「郡境は明治20年代の地図を参考にした」とある。どういう経過で郡誌作成時点で羽束郷が編入されたのだろう。これはぜひとも「三田市史第一巻通史編1」を借り受けて調べてみたいと思った。
 久々に風土記探訪の意欲を掻き立てられた。

マック難民2014年05月10日

 未明に目が覚めて、いつもよりかなり早い早朝ウォーキングとなった。ウォーキングを終えていつものように6時前にマクドナルドのドアを押した。開かない。ガラス戸の張り紙が目に入った。「店内清掃で本日は6時開店。6月1日以降は早朝5時~深夜1時までの営業」とのこと。どうやら24時間営業のマックが深夜時間帯の閉店を決めたようだ。
 帰宅して、マクドナルドの全店の営業時間変更なのかどうかネットで調べた。検索結果の一覧表示に「マック難民、排除開始か?」の文字が飛び込んだ。
 マック難民という言葉を初めて知った。100円コーヒー一杯で24時間営業のマクドナルドで寝泊まりする人たちが増えているという。日雇い労働者風の男性が多いようだが、高校生などの若者もいるようだ。行きつけの店でも早朝にテーブルに俯せている若者たちをたまに見かけたことがある。減収減益のマクドナルドが、こうした事態に業を煮やし不採算店を中心に深夜営業を廃止し、マック難民排除にかかったというのが現実のようだ。
 早朝ウォーキング帰りに100円モーニングを愉しんでいる身にはひとごとではない。24時間営業の当否は別にしても、一杯100円のコーヒーで長時間くつろげるマクドナルドは、貧民にとってはオアシスになっているだろう。マクドナルドも24時間営業をウリにシェアを伸ばしてきたことの副作用として受け入れるしかないのではないか。とは言え「マック難民」は、店側にとってもお粗末な行政のしわ寄せを喰らったとも言えなくもない。財政再建の大義のもとで自治体のセイフティーネットがどんどん切り捨てられつつある。マック難民とはそうした行政に切り捨てられてさまよう「100円セイフティーネット」利用者でもある。