国民の不幸をネタにしたカジノ推進法案という成長戦略2014年11月06日

 知人がブログで「国民の不幸が収益に・カジノ法」と題して健筆をふるっている。「国が賭博という闇世界のシノギに公然と手を出そうとする」流れに「異議あり!」と声をあげている。大いに賛成であり、拍手を送りたい。
 カジノ推進法案は、IR法案(カジノを中核とした統合型リゾート)と名前を取り繕おうが、まぎれもなく「賭博解禁法案」である。「江戸幕府以来今日まで、賭博を禁じる場合も容認する場合も、時の為政者は賭博を反社会的な行為(悪)とする姿勢だけは崩さなかった」と指摘したうえで、「今回のカジノ法案では、カジノを統合型リゾートの中核に据えることでアベノミクスの第三の矢の成長戦略の目玉として推進しようとしている」と、賭博そのものを陽の当たる場所に引き出したとする。
 「厚生労働省の研究班は今年8月、国内でギャンブル依存症の疑いのある人は、推計で成人の4.8%、536万人に上ると発表した。日本の比率は米国の1.6%や韓国の0.8%と比べ格段に高い」という現状で、カジノ法案の成立はこれに拍車をかけることは疑いない。まさしく「国民の不幸をネタにした成長戦略」というほかはない。
 このブログで以前、水野和夫著「資本主義の終焉と歴史の危機」と広井良典著「定常型社会」という著作の書評を記述した。いずれも今日の資本主義社会の行き詰まりを説き、これからはいたずらに成長を追い求めることなく「ゼロ成長社会(定常型社会)」を目指すべきと主張する。アベノミクスとは、まさしく無理な成長を求めるが故の、国民に悲惨な不幸を呼び寄せ、国の品格をも貶める成長戦略と言えよう。

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