名塩講座公民館講座「名塩の歴史」2014年11月08日

 一カ月前に山口公民館講座「隣町風土記・名塩」を開講した。その時、名塩探史会の数名の会員さんにも受講して頂いた。受講者には探史会の副会長で著名な郷土史家の亥野彊さんの姿があり、ご挨拶した。その際、名塩公民館で亥野さんの「名塩の歴史」の講座が開講されることを知った。受講をお願いしていたその講座が昨日あった。
 JR名塩駅前の塩瀬センター3階の塩瀬公民館講堂が会場だった。講堂入口に講師の亥野氏所蔵の古文書が展示されていた。戦国期に蓮如上人から与えられたという亥野家所蔵の上人自筆の南無阿弥陀仏の六字名号がひと際目についた。当時の集落24家に与えられたと伝わっており、亥野家は当時から続く旧家ということになるのだろう。その他、名塩和紙で作られた藩札・私札、緒方洪庵の短冊、名塩出身の緒方洪庵の八重夫人の手紙、尼崎藩からの札紙注文書、名塩に送られた幕末の生麦事件の情報文、泥入り漉紙の現物等々、貴重な古文書が展示されていた。
 受講講座は、毎月開催される公民館講座のひとつで「名塩講座」と「生瀬講座」に分かれている。講座の企画運営はそれぞれの老人クラブ連合会の担当である。受付で面識のある探史会の江本さんと挨拶を交わした。主催者の皆さんに紹介され、最前列の席に案内された。9時半開始の講座に100人前後の受講者がつめかけた。主催者挨拶、西宮市の広報DVDの視聴、健康体操と続き、「名塩の歴史」の講座が始まった。
 配布された4頁の講座資料には「名塩の歴史」「紙漉きの歴史」「藩札と私札」「緒方八重と適塾」の記述がある。亥野講師から頂いていた著作「名塩抄史」を抜粋されたものである。最初に講師所蔵の名塩の昔の写真のスライド上映があったが、スライド機の不調で数枚しか映されなかった。ただ今は存在していない木之元の牛宿の写真が興味深かった。名塩にも東久保と同じ合宿(あいのじゅく)があったのだろうか。
 「名塩抄史」を読んだ身には、講座内容に新鮮さが欠けるのもやむを得ない。ただ緒方八重夫人が13人の子を産み4人の男児をオランダ、フランス、ロシア、ドイツの各国に留学させたという話や、名塩に開塾した伊藤慎蔵の塾からあまたの人材が輩出し、二人の山口出身者もいたという話は興味深かった。
 講座終了後に、会場から貴重な情報が寄せられた。紙漉き元祖と伝わる東山弥右衛門は越前地方では越前出身者で名塩に紙漉きを伝えた人物として小学校の教科書にも掲載されて伝わっているという情報だった。終了後に情報提供者が紙漉きの人間国宝・谷野武信さんの弟さんだと教えられ、さもありなんと納得した。