散歩道の変転する風景2015年08月10日

 真夏の早朝ウォーキングでめまぐるしく変わる風景を目にした。
 最初に遭遇したのは、竹藪の木漏れ日の突き刺さるような光のオブジェだった。数年前にもっと陰影に富んだ絶景に遭遇して以来の景色だった。有馬川堤の名来橋の北側にある墓地に向かう竹藪の一角である。
 堤の突き当りを東に折れた途端に登場するのが、竹藪の真ん中を切り開いて造成された杣道である。その先は田圃の畦道に繋がり、隣町の田園地を結んでいる。早朝の陽光が逆光となって竹藪の濃緑と水田の黄緑の見事なコントラストを描き出す。
 隣町の畦道を北に向かった。正面には新名神高速道の工事中の架橋が横たわっている。真っ青な空と水田の緑を黒い鉄嬌が真一文字に区切っている。着々と進む工事がこの町の風景を変貌させつつある。
 平田稲荷神社に参拝し、来た道を折り返した。突然、南北の農道の南から大勢の若者たちの集団がやってきた。掛け声を掛けながらのランニング集団がどんどん近づいてくる。すれ違った時、先頭のリーダーらしき若者から律儀に「おはようございます」と声を掛けられた。挨拶を返した後、「セミナーハウスの合宿?」と訊いた。「そうです」。すぐ近くの丘陵の頂きに「神戸セミナーハウス」が建っている。学生サークルの合宿の一環の早朝ランニングなのだろう。初めて遭遇した珍しい風景だった。
 めまぐるしく変転した散歩道の風景を噛み締めながら帰路に着いた。