新興住宅街の絆を結ぶ盆踊り2015年08月16日

 住宅街の30回目の盆踊り大会を迎えた。昨年は大型台風の直撃で中止に追い込まれた盆踊りも、今年は天候にも恵まれ無事開催された。
 夕方5時、住宅街にある小学校校庭はすっかり盆踊りの準備が整っていた。5時半に地元劇団による舞台衣装でのダンスが披露された。その後、子供たちお待ちかねの「みやたん」の登場である。司会者に促されて子供たちと一緒に「みやたん音頭」の踊りが始まった。
 自治会長の開会挨拶を皮切りにいよいよ盆踊りのスタートだ。テントごと出店する地域の各団体の夜店の店先にはもう行列ができていた。
 櫓の上ではおなじみの曲目をいつものメンバーが巧みなバチ捌きで音頭を取る。それに合わせてゆかたやハッピ姿の大勢の老若男女がつくるいくつもの輪がリズミカルに流れる。
 社協の運営する敬老席では、おなじみのお年寄りの顔ぶれで賑わう。用意されたおかきや焼き鳥などを肴に生ビールのほろ酔いが、1年ぶりの懇親に花を咲かせる。お楽しみ抽選会も終り、閉会挨拶とともに盛大だった今年の盆踊りも無事に幕を閉じた。
 盆踊り大会は、2千世帯を擁する町を挙げての一大イベントだ。自治会を中心に地域の各団体が一丸となって、夜店の出店や運営準備に当たる。分譲開始以来、33年の歴史の新興住宅街に30回を刻む盆踊りは、今やこの町の伝統行事となったようだ。
 盆踊りは、巣立っていく子供たちには、故郷の良い思い出であり、お盆で帰省した際の、幼なじみたちとの貴重な再会の場を提供する。お年寄りたちには、故郷の懐かしい風景を偲ぶ機会となるのではないだろうか。運営に関わった人たちには、当日だけでなく準備や後片づけを通してどれほど多くの人たちとの新たな出会いをもたらし、交流を深める場になったことだろう。
 地縁・血縁とは無縁の人工的に造成された新興住宅街の恒例の盆踊りが、地域交流と故郷意識をもたらし、新たな絆を結ぶ貴重な伝統を育んでいる。