NHKEテレ「団塊スタイル・五木寛之」2016年02月01日

 先日、久々にNHKのEテレ「団塊スタイル」を観た。月に一度、輝く人に迫る「D'sスタイル」に「五木寛之」が登場した。学生時代から今日に至るまでその作品を読み続けて大きな影響を受けた作家である。このブログでもデビュー作「さらばモスクワ愚連隊」から近著「新老人の思想」まで多くの書評を記事にした。
 番組では83歳になった五木氏をゲストに迎えて、司会者がインタビューする形で進行した。合間に執筆活動だけでないラジオのレギュラー番組出演や講演活動で全国を飛び回る氏の今の活動ぶりも紹介される。
 衝撃的だったのは、氏自身が語った第二次世界大戦終戦時の家族を襲った惨酷な事件の模様だ。進軍してきたソ連兵たちに全裸のまま銃口を向けられる父親、軍靴で胸元を踏みつけられる母親。母親が口から血を流し続ける姿を見つめる五木少年といった思い出が赤裸々に語られる。懇意だった野坂昭如氏らとともに「生き残ったことに後ろめたさを感じながら生きてきた世代」と吐露する。
 作家・五木寛之の原点とも思える苛酷な原体験を初めて知った。二度にわたる休筆の背景、晩年の仏教への帰依、超高齢社会や老人問題での独自の視点からの発言などの背景を垣間見る。
 それにしてもなんともカッコいい人生である。彼の読者の圧倒的多数が団塊世代であるという。ひと回り下の団塊さきがけ世代の一人である私にとっても年代ごとにいつも時代の一歩前を進む五木寛之の生き方に確かな指針を見てきた。

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