NHKスペシャル「若冲 天才絵師の謎に迫る」2016年05月11日

 NHKスペシャル「若冲 天才絵師の謎に迫る」を観た。伊藤若冲は名前を聞いたことがあるぐらいでほとんど知らない人物だった。番組を観終えて「これほどの天才画家がよくぞ江戸中期の京都に誕生したものだ」と驚ろかされた。
 1716年生まれの若冲の生誕300年を記念して今年は様々なイベントや展覧会が催されている。番組もそのひとつと言え、発見された幻の作品をはじめ代表作を高精細カメラで追っている。最新鋭の科学が明らかにしたのは肉眼では判別できない超精密な技法である。
 若冲が描いた自然の光を浴びた陰影を花びら施した牡丹の絵に世界が注目した。フランス印象派を代表する画家で、「光の画家」の別称を持つクロード・モネが、花びらに光の濃淡を描いたのは19世紀半ばである。若冲はその100年も前に自然の光を表現していた。浮世絵といった日本独自の技法でなく、世界に通じる共通の土俵でそれを凌ぐ技法を修得していた天才画家だった。
 NHKスペシャルは時に素晴らしい番組を提供してくれる。この番組もまたそのひとつと言える。

書評・北方謙三著「血涙・上(新楊家将)」2016年05月12日

 北方謙三の「血涙・上(新楊家将)」を読んだ。サブタイトルにあるように「楊家将」の続編である。続編だけに「楊家将」の歴史小説としての性格が、この作品では かなり薄れているように思えた。その分、物語性が色濃く反映されている。
 英雄・楊業の死後の壊滅状態に陥った楊家軍の再興物語である。辛くも生き残った楊業の六男・六郎が七男・七郎とともに再興を担う。その楊家軍に遼軍の謎の将軍・石玄果か精鋭部隊を率いて立ちはだかる。実は石玄果こそは先の大戦で遼軍随一の猛将・耶律休哥と闘い打ちのめされて記憶を失くした楊業の四男・四郎だった。
 戦いの場で六郎と石玄果が遭遇し死闘を演じる。相互に傷つきながら石玄果は六郎の放った刃の衝撃で四郎であったことの記憶を蘇らせる。上巻はここで幕を閉じる。記憶を取り戻した石玄果の苦悩を暗示させながら。
 歴史小説としての醍醐味は希薄である。それ以上に豊かな物語性がぐいぐいと読者を引っ張り込んでいく作品だった。

エクシブ有馬離宮の中華ランチ2016年05月13日

 社協分区の新年度が各事業部でもスタートした。昨日はボランティアセンターの今期初めてのコーディネーター会議だった。今月22日開催の「よりそいサポート説明会」の運営確認を中心に12時までの会議だった。その後、参加者は車に分乗して有馬温泉に向かった。
 今期のボランティアコーディネーターは退任者1人、新任者2人で計13人である。その歓送迎会を有馬温泉のエクシブ有馬離宮ですることになった。メンバーのほとんどはご婦人方である。辛うじて今期から私以外に同世代の男性1人が加わった。
 会場のエクシブ有馬離宮は会員制リゾートホテルである。高層マンション風のビルのエントランスに入ると高級感あふれるゆったりしたロビーラウンジが出迎える。ラウンジで寛いでいるのは中高年以上のご婦人方ばかりである。予約のレストラン「中国料理・翠陽」に案内された。
三つのテーブルに分かれてランチコース・クレオパトラ(税抜き3500円)の会食が始まった。前菜盛り合わせ、五目スープ、揚げ物、帆立の煎り焼き、ローストポーク、飲茶二種、南高梅入り冷麺、デザート盛り合わせと続く。どれも高価な食材をふんだんに使った味わい深い料理ばかりだ。ご婦人方がしばしば女子会風のランチを存分に楽しんでいる様が窺えた。リタイヤオヤジ約2名が場違いな雰囲気に韜晦した。

フレッツ光のアップグレード2016年05月14日

 フレッツ光プレミアムを13年間に渡って利用してきた。途中、「ネクスト隼」へのアップグレードの案内も何度かあった。料金は変わらず通信速度が現在の100MBから1GBとかなり早くなる。また今3台あるNTT関係のモデムやルーター等の端末機器が2台になり配線もすっきりする。ところがアップグレードは機器の取替えや設定変更を自分でしなければならない。この歳ではそれはかなりリスキーで煩わしい。結局断念したままになっていた。
 ところが最近ネットの画像表示がやけに遅くなり、ストレスが溜まりだした。ここに至ってようやくアップグレードに挑戦することにした。NTTリモートサポート契約をしている。この契約をフルに生かしてサポートしてもらえるはずだ。NTTに申込み新しい機器が到着した。NTT側の回線変更設定も完了した昨日の朝、いよいよアップグレードに着手した。
 旧機器のケーブル、配線を取り外し、取説片手にを新たな機器に再接続した。ここでミスがないかどうかをリモートサポートに携帯電話で問い合わせた(固定電話は配線の切り替え中で使用できない)。接続は特に問題なく処理できたが、問題はパソコンでの設定変更だ。こちらは一筋縄ではいかない。リモートサポートの助けを借りながら30分ばかり悪戦苦闘しようやく完了した。スマホのかけ放題契約がここで威力を発揮し、時間を気にせずジックリ通話しながら対応できた。
 ともあれ11時前には全て完了し、ネット通信もサクサクと処理してくれる。旧機器を送られてきた包装パックに梱包しゆうパックで返送して万事終了である。久々に達成感らしきものを覚えた。

「NHK あの人に会いたい 車谷長吉(作家)」2016年05月15日

 昨日の朝、リビングで新聞を読んでいると、寝起きのテレビを観ていた家内が二階から降りてきて声をかけた。「今、NHKで車谷さんのことをやってるヨ」。すぐにチャンネルを合わせると、懐かしい高校時代の同級生たちの集合写真が目に飛び込んだ。その中に車谷君が写っている。
 毎週土曜日の5時40分から10分間放送しているNHK総合テレビ「あの人に会いたい」という番組だった。毎回各界を代表する故人を取り上げその活動を収録したインタビュー等で紹介している。昨年5月に旧友・車谷君が亡くなった。その彼が早くもNHKのこうした教養番組で取り上げられていることに彼の評価の高さをあらためて知った。
 直木賞作家・車谷長吉氏とは、小学、中学、高校と同窓である。その関わりについては個人HPで綴った。http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/kurumatani.htm 私小説作家・車谷氏の作品は、自ら”反時代的毒虫としての私小説”と称していたように周囲の人間たちに毒をばらまき、そのこと自体を省みることはなかったように思う。ところが番組の中の晩年の収録インタビューでは、「周りの人たちに色んな迷惑をかけたかと思う」といった趣旨の発言をしている。もちろん自分自身の文学観を否定するものではなく、むしろそれを補うという視点の発言だった。それでも何か彼の晩年の境地を垣間見た気がして幾分安堵した。

2回目のつどい場”あん”2016年05月16日

 昨日の第3日曜日、2回目のつどい場”あん”に参加した。今回は大人10人子ども3人の総勢12人が楽しく食卓を囲んだ。
 11時から主宰者宅のリビングが開放され、参加者が相次いで来場する。今回は私の紹介で地域の訪問看護センターの代表者とスタッフお二人の初参加があった。北部地域の在宅ケア関係者交流会で面識ができた方である。
 主宰者ご夫婦の腕によりをかけた料理の数々をいただきながら様々な話題に花が咲いた。話の中心はやっぱりご婦人方である。3人の男性は少数派はであるという事情以上に、料理を前にした時の女性陣のトークバトルに圧倒されるばかりである。最も盛り上がった話題がお酒の失敗のあれこれである。女性陣の多くが酒豪である。もちろん介護の話題にも事欠かない。介護者、訪問看護士、ボランティアスタッフ、元介護士、施設通所者などそれぞれの立場からの発言も相次いだ。
 「細く長く続けたい」とは主宰者の奥さんの弁である。2回目を迎えてこのつどい場が着実に介護に関わる人と人との繋がりの場を広げる役割を果たしている。細く長く続けられるよう息長く応援したい。

しょうざんリゾート京都を味わった2016年05月17日

 昨日、連合福寿会(老人会)のバス研修に参加した。「北山杉と日本庭園のしょうざんリゾート京都と京料理」の案内に応募者が殺到した。大型バスの定員いっぱいの55名が参加したが、役員を中心に10名ほどが参加を断念したようだ。
 朝9時に出発したバスは渋滞もなく洛北の目的地には10時25分頃に到着した。北庭入口の雅びな門をくぐると目の前に鮮やかな新緑の奥行きのある庭園が広がっている。玉砂利の歩道の左右を北山杉や台杉が林立し風情ある大きな庭石があちこちに配されている。その見事な樹林の凛とした佇まいは圧倒的な新緑のまぶしさの中で息を呑むほど美しい。
 11時半から園内の一角にある「京料理・紙屋川」で京料理の松花堂弁当の昼食をとった。旬の素材を彩り豊かにあしらった凝った盛合せのお弁当に湯豆腐がついている。食後に庭園内を流れる紙屋川の清流を辿る南庭を散策した。
 次の目的地はは京野菜のお買物スポットである。洛北から一気に洛南に向かい、1時半頃には名神高速京都南インター近くの「じねんと市場」に着いた。地元の農家が生産する京野菜を中心とした直売所である。入口近くには豊富で多様な野菜が並べられている。京野菜はぜひとも買って帰りたい。とはいえ勝手に買うわけにもいかないので家内に携帯で連絡しながら九条ネギ、サラダ水菜、ニンジン菜、アイスプラントなどを晩酌のアテのお惣菜も一緒に買込んだ。
 午後から雨の天気予報だったが帰路に就いた頃までは曇り空ながら何とか雨は避けられた。予定より15分ばかり早く3時15分頃には自宅に着いた。会費3300円という格安のバス研修ながら中味の濃い内容に大満足だった。

介護が突然やってくる2016年05月18日

 住宅街の介護者の会の日である。初参加の70代のご婦人の姿があった。80歳近いご主人は突然の重い発病で入院中である。朝の散歩中にご夫婦で散歩されている姿を見かけていた。いきいき体操にも最近までお二人で参加されていた。奥さんの報告である。
 「何カ月か前に突然ご主人が倒れた。救急車で運ばれた病院での診察結果は腰部の重篤な褥瘡(じょくそう※床ずれ)だった。すぐに手術し壊死した組織のかなりの部分切除した。術後も寝たきり状態で帰宅は叶わない。頼み込んで入院をさせてもらっている。介護保険の手続きなどしていない。地域包括センターに相談しながらすぐに手続きを行ったところ介護認定は要介護5だった。要支援などをすっ飛ばしていきなりの最上級の認定だった。日々病院に通う生活が突然訪れた。介護の知識など全くなく情報収集と勉強に明け暮れている。この介護者の会があうことを知って色んなことをぜひ教えてほしいと思って参加した」。
 平穏な日々に突然介護に見舞われるという具体的で生々しい事例をお聞きした。他人事ではない。いつ同じ境遇が訪れるかもわからない。そんな状況の中で介護者の会が地域のかけがえのないインフラのひとつになりつつあると実感した。

タブレットの向こうの花ちゃん2016年05月19日

 タブレットの向こうで花ちゃんが遊んでいる。定期的に娘と孫娘を相手にFaceTime(テレビ電話)をしている。花ちゃんが朝起きして授乳やおむつ替えなどの一連の手順を終えひと息ついた頃である。
 婿殿の実家で最近買ってもらったおもちゃがお気に入りである。音楽が聞こえる絵本風のおもちゃをタンタンと手で叩いてご機嫌だ。そんな時はなかなかカメラの方向に顔を向けてくれない。少し前までキャッキャッと反応していたじいちゃんのワンワンやニャンニャンの鳴き声にも知らんぷり。
 ところが今日は見事なパフォーマンスを見せてくれた。うつぶせで遊んでいた花ちゃんがナント仰向けに寝返った。仰向けからうつぶせへの寝返り(我が家ではゴロンと呼んでいる)は何度か目にした。逆ゴロンは初めてだった。そしてすぐにうつぶせにゴロンして一回転した。思わずタブレット越しに拍手した。じいちゃんの拍手にカメラ目線でニッコリとどや顔!
 こんな他愛のない孫と過ごすバーチャルな日常に癒されている。

橋脚落下事故の現場近くを歩いた2016年05月20日

 相変わらず万歩計の呪縛に縛られ、特に外出予定のない日の朝の散歩は遠出になる。今朝も隣町平田の田園を歩いた。
 有馬川東側の土手道から新名神高速道の橋脚落下事故を遠望した。平田の田園に入ると水を引かれたばかりの美しい水田風景が広がっている。水田の水面には横断している新名神高速道の橋桁が映されている。
 平田の集落を抜ける旧街道を折り返し有馬川の土手道に出た。事故現場に向かう土手道の入口には警備員の姿はなく片側車線も開かれている。事故現場近くに行ってみることにした。落下した白い橋桁が斜めに横たわっている。有馬川を跨いで西側の端が国道に着地している。
 人影も車両もない事故現場は静寂に覆われていた。大事故直後の喧騒を押しやるように静寂が支配していた。