孫はかすがい2016年07月24日

 現役生活をリタイヤして8年目を迎えた。子育てを終え二人の子どもたちはそれぞれに伴侶を選び巣立っていった。子どもたちは家庭をもったものの子宝に恵まれないまま時が過ぎた。我が家の孫誕生をなかば断念し夫婦二人だけの穏やかな老後生活を想定していた。
 ところが昨年春先に事態が一変した。結婚5年目にして娘の妊娠が伝えられた。嬉しい連絡だったものの30代後半の高齢出産である。無事に生まれるだろうかという不安は隠せなかった。それでも昨年11月半ばに女の子が無事誕生し、花ちゃんと名付けられた。
 娘の妊娠の知らせ以降、我が家の空気が変わった。夫婦の会話が多くなった。孫誕生の期待と不安を思い思いに口にする。昨年10月半ばに娘が出産準備で里帰りしてからはそれはリアルな現実となった。そして待望の孫誕生を迎えた。
 誕生後、花ちゃんは4カ月半を我が家で過ごした。それは古希を過ぎて初めて味わった孫との至福の日々だった。人生の晩年に孫に恵まれるか否かの落差はかくも大きいものかと家内と語り合った。花ちゃんが自宅に戻って以降も、日々テレビ電話でその成長ぶりを目にしている。時には娘宅を訪ねたり、花ちゃんを連れた娘が骨休めにやってきたりする。その前後がまた夫婦に孫の様々な話題を提供してくれる。
 「子はかすがい」という。忙しさに紛れて子育てに無縁だった現役時代には「子はかすがい」の実感は乏しかった。夫婦ともどもに今や自由時間はたっぷりある。そんな晩年にもたらされた孫である。リタイヤ夫婦の乏しい会話に絶好の話題をもたらしている。「孫はかすがい」である。