ご近所のおじいちゃんと枕頭の別れ2016年08月09日

 ご近所のおじいちゃんの訃報を聞いた二日後に、通夜、告別式の案内が記された自治会の訃報連絡がポスティングされた。但し、「家族葬の為、ご会葬、ご香典はご辞退させて頂きます」とあった。
 とはいえ、晩年には何かとお付合いの深かったおじいちゃんである。8カ月前におばあちゃんに先立たれた後、同居の長男ご夫婦からもおじいちゃんの外出の誘いを依頼されていた。そんないきさつから会葬は叶わぬまでもおじいちゃんの枕頭でのお参りだけはしたいと思った。
 簡易礼装に着替えて数珠を手にお宅を訪問した。招じ入れられた1階居間に錦糸の掛布に覆われたおじいちゃんの安らかな寝顔があった。お線香をあげ手を合わせてしばらく黙祷した。
 枕元には硬式野球の審判用マスクが置かれている。故人の生前のいきがいのひとつは硬式野球の審判ボランティアだった。ご長男の話ではマスクはアメリカで開催された審判研修の際に入手された自慢の逸品のようだ。枕頭でそんな故人にまつわる話題でしばらく歓談した。
 20日ほど前にもご近所のおじいちゃんとのお別れがあった。超高齢社会とは多死社会でもある。民生委員として様々な人との晩年のお付合いも多くなる。それは否応なく自分自身の晩年の過し方と向き合うことを意味している。

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