畦道のクモの巣のとおせんぼう2016年08月11日

 真夏のこの時期に隣町・平田まで足を伸ばす早朝散策コースには途中に厄介な関門がある。有馬川土手道の北の端を右折した先に田圃一枚を隔てて旧丹波街道が名残りをとどめている。元々、土手道から旧街道へ繋がるルートはない。田圃の畦道が辛うじて繋いでいるばかりである。
 いつもなら難なく通過できるこの畦道を前にして躊躇した。畦を覆っている生い茂った雑草は朝露をたっぷり含んでいる。それでもこの時期の平田の田園地帯を歩く爽快感は魅力的である。意を決して畦道に踏み込んだ。歩みのたびに露がハーフパンツの裾から上を濡らし、スニーカーには見る間に露水に浸される。
 真ん中あたりで畦を遮断する障害物を目にした。伸びた左右の雑草を足場にしたクモの巣だった。糸にまとわる露が朝日を浴びてキラキラ光っていた。巣のど真ん中で薄茶色のクモが8本の足を放射線状に伸ばして張り出した糸に掴まっている。通れるものなら通ってみろとばかりにふんぞり返っていた。この光景を前に再び前進をためらった。進むにはクモの巣を払いのける他はない。左端の一本の糸を払って進入路を作り突破した。
 畦を渡り終え旧道に辿り着いた時、パンツの下半分を露水に濡らしスニーカーをグッショリ濡らすという代償を支払った。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック