朝の散歩で出会った人たち2016年08月22日

 早朝散策で自宅を出たばかりの時だった。向こうから見慣れたお顔の高齢のご婦人がやってきた。少し曲がった腰をショッピングカートでカバーしながらゆっくり近づいてこられた。一月ほど前にご主人を亡くされ、会葬のお手伝いをした方である。今はひとり住まいでその後の様子が気がかりだった。
 「その節はお世話になりました。先日から朝晩の散歩に出かけるようになりました。老人会にも参加するつもりです」とのこと。「それは良かったです。老人会のいきいき体操や旅行にも参加してぜひ地域で新しい繋がりをもって下さい」と言葉を掛けた。
 病気がちだったご主人のお世話を長い間気丈にこなしてこられたしっかり者の奥さんだった。ご主人が亡くなりそのショックが尾を引かないかと懸念したが杞憂だった。すっかり気持ちを切り替え、新たな境遇に前向きに向き合う姿勢が窺えた。
 散策を終えて自宅付近に戻ってきた時だ。ご近所の70代後半のご夫婦の寄り添うようにして歩く姿を目にした。しばらく前からご主人の表情の変化が気になっていた。強ばった表情に感情の起伏が感じられない。軽い認知症の症状のように思えた。それでも近づいて朝の挨拶をすると片手をあげて返された。以前からひとりで早朝散策をたのしむご主人とよくお会いしていた。今はその散策に奥さんが付き添っている。
 無縁社会が語られて久しい。無縁社会にあって様々な縁を紡ぐ取組みもまた進められている。民生委員の役割もそのひとつだろう。民生委員の無縁社会を見つめるまなざしが問われている。

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