「岡本かおりワールド」という手話の舞台2016年08月23日

 社協分区の福祉ネット推進部の女性陣が新たな活動に着手した。「手話養成講座・シェイクハンズ丸山」を立ち上げようという試みだ。推進部会や分区執行委員会での協議を経て、昨日その入会案内を兼ねたプレ講座が開催された。
 開会時間の1時には会場の自治会館に17名の受講者が席を占めた。社協主催のいつもの講座の受講者とは一世代以上年層が若い。社協関係のボランティアでは見かけない顔ぶれも多い。講座受講者が従来のボランティア分野で活動する層とは異なる層であることが窺えた。その意味で企画者の今後のボランティアの人材発掘という趣旨が奏功したと言える。
 講師はご自身もろう(聾)者である岡本かおりという女性である。司会者から「手話では拍手は、掲げた両手首を裏表に回します」と紹介されて受講者が一斉にその動作で迎えた。登壇した講師の口からカタコトの音声が発せられる。口元の動きや音声や手話動作を通して講師の意向が部分的に伝わってくる。
 講師は自身のメッセージを全身全霊で表現する。カタコトトークに加えて目や口元を目一杯活用した豊かな表情、大きな身振り手振りは手話動作の枠を超えたパントマイムにも似たボディランゲージだ。黒板での文字がこれに加わる。何よりもその明るいキャラクターが一気に聴衆を引き付け笑いと共感を誘う。ろう者の手話講座講師というイメージを突破した個性豊かな表現者である。
 講座では自己紹介に始まって多彩な内容が展開された。バレーボール選手としてご自身が金メダル等の輝かしい実績をお持ちのデフリンピック(4年に一度世界規模で開催される視聴覚障害者の総合スポーツ競技大会)の話し、手話の基礎知識、手話講座の概要等である。最後に「昔話・桃太郎」が手話で表現された。講師の多彩で豊かな表現力がいかんなく発揮され、受講者を釘付けにしてしまった。講師は2時間に及ぶ「岡本かおりワールド」という舞台を演じきった。
 手話という世界と初めて本格的に遭遇した。その水先案内が岡本かおりという講師だったことは幸運だったに違いない。手話の世界を健常者たちに分かりやすく楽しく伝えたいという彼女の伝道者にも似た熱い想いが伝わった。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック