有馬病院の施設見学と認知症研修2016年10月15日

 福祉ネット役員会メンバーを対象にオブザーバー事業者である有馬病院の施設見学と認知症研修を開催した。社協役員や介護者等の一般参加者も含めて10名が参加した。
 午後2時30分に病院受付に集合し、最初に5人ずつ二班に分かれてスタッフの案内で施設見学をした。有馬病院には一般病棟と心療内科リワーク病棟の二施設がある。一般病棟は昭和33年に開設され現在370床の規模の施設である。社会復帰に向けて診療に加えて医療相談、看護・介護、作業療法、外来デイケア等が実施されている。リワーク病棟は5年前に開設された最新の設備を誇る「うつ病・うつ状態」専門の病棟だった。社会復帰に向けて最新機器の検査と3カ月程度の入院治療プログラムが実施されている。30床の病室は全室個室でホテルのような快適な設備である。
 施設見学を終えて3時から会議室で「認知症勉強会」に臨んだ。講師は精神科の30代とおぼしき医師だった。認知症についてはサポーター養成講座等で介護や見守り等をテーマに一般的な研修は受けたが、ドクターによる専門的な講座は初めてだった。認知症の症状、病態、治療、生活指導、介護等が医師の立場からプロジェクターを使って解説された。代表的な病態であるアルツハイマー認知症の症状についても医学的な解説があり、薬物療法についてもその功罪を個人の見解も交えて説明された。
 90分という限られた時間の駆け足の施設見学と研修会だったが、2点の感想を抱いた。ひとつはいわゆる精神病院のイメージが一新された点である。有馬病院自体は北六甲台が開発されるずっと前から開設されていた。後からやってきた住民からは何かと違和感を持たれたことも耳にした。実際に施設見学してみて予想外のオープンさを目にしてそうしたイメージが払しょくされた。ましてや認知症がこれほど一般的になった今日、精神疾患治療の施設は一層身近なものになっている。今ひとつは認知症治療の病院所属ドクターのスタンスについての感想である。ともすれば投薬治療に偏りがちではないかと危惧したが杞憂だった。「厚労省の通達で抗認知症薬の増量規定が適量処方に変更されたが、医療現場ではどのような受け止め方か」という私の質問に「歓迎している」との回答があった。