リビング・ウイルをご存知ですか2017年02月24日

 1月末発行の福祉ネット広報紙で「リビングウイル(延命治療の生前の意思)」 を取上げた。役員会では掲載に当たってためらいの声もあったが「情報の紹介」ということで了承された。以下、記事を紹介する。

■終末期医療の現実
 四〇年ほど前までは自宅で亡くなる人がほとんどでした。ところが今では八割の人が病院で亡くなっています。日本では自宅での穏やかな死(平穏死)を迎えることが難しくなりつつあります。
 平穏死が叶わない要因には、終末期の患者が病院に入院すると必然的に延命治療が行われるという点があります。一度延命治療が始まると医療訴訟等の懸念から本人や家族が途中で中止を希望しても実行されにくいという現実があります。
■平穏死の条件
 在宅医の長尾和弘氏は「『平穏死』10の条件」という著作で平穏死を迎えるための次のような条件を提案されています。▼看取り実績のある在宅医を探す▼本人・家族が死後の準備について話し合う▼平穏死させてくれれる施設を選ぶ▼リビング・ウィルを表明する▼「転倒➡骨折➡寝たきり」を予防する▼救急車を呼ぶことの意味(蘇生、延命治療を希望するという意思表示)を考える▼緩和医療の恩恵にあずかる等々。
■リビング・ウイル
 特にリビングウィルは終末期の選択肢の一つとして注目されます。終末期に延命治療を拒否し穏やかな最期を迎えたいと思っても困難な現状です。認知症等で自分の意思をはっきり伝えられない場合は尚更です。
 そこで延命治療に関する自分の意思をリビングウィルとして健康なうちに書面で残しておくという選択肢があります(下記の「要旨」参照)。
 終末期医療を考える上での情報のひとつとして紹介しました。

-------------「リビング・ウイル」の要旨---------
1.私の傷病が不治で死が迫っている時、単に死期を引き延ばす措置はお断りします。
2.ただし、私の苦痛を和らげるためには十分な緩和医療を行ってください。
3.回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥ったときは生命維持装置を取りやめてください。
 以上、私の宣言に従ってくださったとき、すべての責任は私自身にあります。(日本尊厳死協会の事例)