地域コミュニティ弱体化の懸念2017年03月08日

 社協分区広報紙の年頭所感で地域コミュニティの弱体化の懸念に触れた。その恐れていた懸念が俄かに現実化しかねない事態が起きている。在住する住宅街の自治会が4月の総会で地域社会を分断し混乱を招きかねない議案を提案することが判明した。
 ひとつは自治会が設立以来30年に渡って続けてきた募金等の助け合い活動の拠出金の次年度中止を班長会議で決めたことだ。財政的な理由でなく自治会員に周知されていないという自治会内部問題が主たる理由のようだ。事務窓口である社協分区との事前の相談は全くなく事後報告で通知された。拠出中止に伴う他の募金活動の実施等の代替措置を講じる意向はない。これまでの年間1人当たり170円程度の助け合いの志を良しとしていた自治会員も多い筈だ。そうした意向は20数名の班長による不十分な議論のまま葬り去られることになる。
 今ひとつは社協や青愛協や老人会などの関係団体に対して自治会が交付する助成金についての関係団体との約束を一方的に破棄する決定をした点である。自治会は数年前に住宅街の駐車場用地を取得したため多額の特別会計を取り崩した。以降、5年計画で自治会費用の削減による取り崩し分のカバーが総会で承認された。その一環で関係団体助成金も5年後には復活することを条件に一律3万円の減額が実施された。その約束を今回事前の関係団体との話し合いもなく一方的に「白紙としたい」という書面が通知された。昨年から実施された自治会員の協力による資源ゴミ回収事業が順調に推移し財政的には十分賄える余裕がある。白紙化の理由についても説明はない。
 我が町の自治会役員は班長をはじめ全員が毎年一斉に入れ替わる。それだけに地域の実情に疎い人たちが多数を占めるという現実がある。その結果、偏った一面的な提案も慎重に多角的に検討されることなく雰囲気で容認してしまいやすい面がある。一刻も早く会議を終わらせたいという気分が異論を挟むのをためらわせている点も否定できまい。こうした自治会の体質的な脆さが今回一気に表面化したと言える。とはいえ上記決定はあくまで総会提案議案の決定である。総会での承認なしには実施はできない。総会での関係団体関係者をはじめとした反発は必至だ。議案を巡って議論が二分され住民間の分断をもたらす懸念もある。そうした混乱が地域コミュニティにもたらす影響は大きい。円満な決着と円滑な総会運営に向けた冷静な対応を望むばかりだ。