断捨離ビジネス2017年03月11日

 民生委員の定例地区協議会から帰宅すると家内が台所の窓越しに見知らぬ男性と話をしている。聞けば不用品の買取り業者だという。民生委員の会議でも貴金属の悪徳買取り業者のことを聞いていたので、興味ありげな家内を抑えて早々に話を打ち切った。
 ところが家に入ってあらためて家内の話を聞くと、ご近所の仲良し奥さんが同じ業者に不用品を納得できる価格で買ってもらったという。置いていった名刺の連絡先に電話してみるとちゃんとした会社のようで若い女性の応対もしっかりしていた。家にある不用品の処分に困っているという家内の言い分ももっともだった。それならと名刺の携帯番号に電話しすぐに再訪してもらうことにした。
 やってきた30代の男性担当者は予想外に気さくな話しぶりで用意した不用品の買い取り価格をテキパキと査定してくれた。目で見て即決できるものは即座に、不確かなものは品名型番からスマホでデータベースにアクセスして確認しながら価格を告げる。
 結局、使わない純銀製のパーカー万年筆3千円、古いキャノン製の一丸レフカメラとレンズ一式2千円(以前キタムラカメラに持込んだら千円と言われた)、娘のリカちゃんハウス2千円(人形はなくなっている)、使わなくなった古い腕時計2点で2千円と計9千円だったが、担当者はまとめて1万円でどうですかという。即座に了解して商談がまとまった。
 使わなくなった愛用品の処分は結構判断が難しい。それぞれに思い出や想いが籠められている場合が多い。ゴミ出し処分には抵抗がある。その抵抗感も余命が残り少なくなればなるほど薄らいでいく。なにがしかの対価が得られれば決断できるというケースも多々ある。そんな我が家の事情に今回の業者は絶妙のタイミングの訪問だった。
 もちろん悪質な訪問業者が多々あるのも現実だろう。ひとり住まいの高齢者が単独で訪問業者と関わるのは避けるべきだ。ただ今回の経験で中には納得できる取引を純粋にビジネスとして提供してくれる業者もいることを知った。とっくにゴミ出ししていてもおかしくなかったリカちゃんハウスなどは専門業者ならではの価値を教えてくれた。情報のミスマッチを埋めて双方が納得できる取引を成立させるいわば「断捨離ビジネス」とでもいうべき商いが成立する余地があるのは理解できた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック