傘寿間近の知人の悠々たるつれづれ2017年03月26日

 現役時代の知人で労組活動の先輩でもある知人から著作を贈って頂いた。まもなく傘寿を迎えようという年配で悠々自適の中に尚社会法人の理事等を引き受けながら地域と関わっておられる。そんな日々のつれづれを綴った自費出版の著作である。
 労組活動、流通業での職場復帰、リタイヤ後の民生委員等の地域活動という彼の経歴は私の人生の軌跡に重なる部分が多い。それだけに綴られた想いは多くの点で共感できる。著作は端的に言えば「日本の政治状況に対する憂い」と「終活の勧め」ということだろう。
 日本の政治状況については、市場経済のグローバル化の果てに貧富の格差が極限にまで及んいる。その貧困と格差社会を招いた新自由主義政策の背景と経過が丁寧に述べられ、その延長線上のアベノミクスがめざす危険な「原発推進」「兵器産業振興」と「国家主義の復活」の潮流が指摘される。富が少数者に集中する経済構造は貧困層の劇増による社会負担の減少と福祉需要の増大をもたらし社会保障財源の破綻の危機が迫っている。2025年問題はこれに拍車をかけ絶望的な超高齢社会の到来が予想される。
 もうひとつのテーマは著者にとっても身近な問題である「終活」である。煎じ詰めれば「死と向き合い、受け止め、準備する」ということ。そのための「エンディング・ノート、遺言書、遺産相続、葬儀の準備」が促され、健康寿命を延ばし認知症リスクを予防する実践的な心得が説かれる。それぞれに各種のノウハウ本でも入手できる情報もあるが、著者の実践に裏付けられた情報だけに説得力を持っている。
 傘寿間近の知人の悠々たるつれづれの日々を垣間見た。