とかく年寄りの誕生日はメンドクサイ2017年06月01日

 古希を越えた誕生日は嬉しくもなんともないというのがホンネだろう。とはいえホンネを口にするのも大人げない。一方で家族から誕生日を忘れられているのもやるせない。とかく年寄りの誕生日の想いはメンドクサイ。
 当日の三分の二以上が過ぎた夕方、自分自身が忘れていた誕生日を思い出し「今日、誕生日やったんや」と口にした。傍にいた家内の一瞬うろたえたような雰囲気が伝わった。「ケーキ買うてこうと思たけどお父さんの好きなん買うた方がええやろ」と取り繕っていた。平穏な日常の老夫婦の他愛のないヒトコマである。
 翌日のお昼前、「誕生祝いにどっか食べにいこか」と家内が言う。あちこちの店で夫婦の誕生日登録を済ませている。それぞれの店から誕生祝いのクーポン付きの案内状が送られてくる。家族は忘れていてもお店の案内状は律儀に誕生日を知らせてくれる。結局、いつものプチ贅沢回転寿司の「流れ鮨・三代目おとわ」に出かけた。
 ミニコミ紙限定ランチ「彩り寿司と季節の一品」を注文した。色とりどりの九枡の握り寿司に桜えびかき揚げ、6品の小鉢、赤出しにデザート2品がついている。案内状クーポンを提示して抹茶アイス中心の贅沢デザートで誕生日を祝ってもらった。
 今年の誕生日も何事もなく平凡でささやかな祝いで通過した。

前立腺肥大症・・・どこまで続くぬかるみぞ!2017年06月02日

 一週間前に前立腺肥大症のPSA血液検査で基準値を上回り、担当医からMRI検査を指示された。昨日、20分ほどのMRI検査を受けてその結果を今日担当医から聞いた。
 「撮影画像の中に一カ所気になる部分があります。担当医としては前立腺生検をお勧めします」とのこと。要するにPSA数値が基準値を超え、MRI検査でも気になる点がみられる。前立腺細胞を針で採取してより詳細な検査で癌の有無を確かめる必要があるとのこと。
 エ~ッ!そんな。思わずボヤキを口にしてしまった。生検は一度やったことがある。痛みはほとんどないが何とも言えない不快感を伴う。できるものなら勘弁してもらいたい検査である。とは言え担当医の見立ては形の上では打診だが有無を言わせない口調である。
 NOと言えない弱気な患者は渋々承諾の意思を告げた。即座に2週間後の生検が決まった。検査後、血便、血尿、発熱の懸念があり、一週間の禁酒が欠かせないという。「どこまで続くぬかるみぞ」と呪いの言葉を呟きながら診察室を出た。

五木寛之著「風の王国」2017年06月03日

 五木寛之の異色の大作「風の王国」を読了した。この作品も知人のブログの紹介記事で興味を抱き手にしたものだった。
 これまでの読書体験のどのジャンルにも属さない「歩き」をテーマとした単行本400頁余りもの長編小説である。「歩き」を原点として様々な営みが語られる。「山窩(サンカ)」「山の民」「化外の民」「遍路」「遊行」「千日回峰」等々。それぞれに作者の膨大な資料を読み込んだ確かな実証性に裏付けられた記述である。
 この長編を5月中旬の二泊三日の房総半島ツアーに持参した。たっぷりあるバス移動の車中で一気に読み切った。それほどに興味深く物語性に富んだ作品だった。
 この作品を読み終えて思った。私たちが学び受け入れてきた歴史とは「定住の民」の歴史ではなかったか。農耕を受入れて以降、民は定住が基本となり、権力者たちは定住を正義とする歴史を刻んできた。農耕以前の途方もない長い縄文の歴史は軽んじられ顧みられることは永く稀だった。他方で定住を潔しとしない少なからぬ民が脈々と生き続けた。定住の民の歴史や文化の限界が見え始めた。その究極の姿がグローバル資本主義という醜悪で強欲な怪獣のようにふるまっている。
 山の民、里の民の狭間で流浪した民の学ぶべき息遣いを知った。

花ちゃんはあそびの達人2017年06月04日

 一カ月ぶりに花ちゃんに再会した。昨日朝9時半頃に大津の花ちゃん宅を訪ねた。房総半島ツアーのお土産を持参するという口実が、初孫の成長ぶりを確かめたいというホンネを取り繕っていた。
 マンション前の広場にマイカーを止めた時、父ちゃんに手を引かれた花ちゃんの姿を目にした。私たちが車からでると満面の笑みを浮かべた花ちゃんが「じいちゃん!ばあちゃん!」と口にしてくれる。なんという成長ぶりだ。
 ご近所さんに頂いた老夫婦には手に余る大きな西瓜を持参した。早速、花ちゃんに見せてやる。すぐに興味深げに近寄った。「スイカ、スイカ」と連呼するじいちゃんの口真似をしながら「ポン、ポン」と西瓜の頭を叩いている。じいちゃんの「イイコ、イイコ」の連呼には西瓜をなぜなぜしてみせる。
 ばあちゃんがいっぱい食材を詰め込んできた発泡スチロールの空箱を見つけた。蓋を開けて跨いで上手に空箱の中に納まった。じいちゃんに向かってドヤ顔をしてみせる。1歳6カ月の幼児はどんなものにも旺盛な好奇心を発揮する。どんなものもたちまち遊び道具に早変わりする。あそびの達人である。
 昼食後に父母、祖父母に連れられて花ちゃんはベビーカーで琵琶湖畔の遊歩道にお出かけした。湖畔に着くと花ちゃんの天下だ(今やどこでもいつでも花ちゃんの天下だが)。芝生を目にした花ちゃんはアンヨをせがみベビーカーから降りて嬉々として歩き回る。幾組ものワンちゃん連れの散策者が行きかっている。目ざとく見つけては「ワンワン、ワンワン」と指さして声をあげる。中には花ちゃんのそばにワンちゃんを連れてきて遊ばせてくれる方もある。怖がる風もなく頭をなぜなぜする花ちゃん。そんな姿にじいちゃんたちは目を細める。
 一気に成長し遊びの達人になった花ちゃんと一緒に半日を愉しんだ。

初めての地域ケア会議2017年06月05日

 初めて地域ケア会議に参加した。民生委員の担当地区在住の高齢女性の地域での個別ケアのための会議である。彼女の担当ケアマネさんが所属する介護施設の会議室に12時に関係者が顔を揃えた。安心窓口山口のスタッフ2名、民生委員、ご近所さん、通所している介護施設ヘルパーさん2名、参加している趣味の会の役員2名、担当ケアマネさん、息子さん夫婦の10名である。
 担当ケアマネさんの進行で参加者の自己紹介を兼ねたご本人との関係や気づいたこと、気になることなどが順次話された。相互にそれぞれの関わりからのコメントを語り合うことで各自の知らない情報が共有される。現在の心身の状況、かかりつけ医や服薬の状況、片付けや掃除等の生活上の困り事、趣味の会参加のバラつきや会費忘れ、ゴミ出しや分別問題等々。
 ヘルパーたちのきめ細かな服薬指導や大型カレンダーでのスケジュール管理などのケアや趣味の会参加の環境整備などが話された。問題の多くは認知症発症に伴う記憶障害に起因する。路上でのご近所さんとの立ち話でも認知症発症を知らなければ時にご本人を傷つける会話にもつながる。そのことが一層ご本人のひきこもり化を招くことにもなりかねない。
 地域の認知症発症者ケアについて次の二点を提案した。①ご本人や家族の認知症発症のご近所への情報開示がどこまでできるかが課題であり、②地域住民も今後の認知症多発に備えて発症者との接し方についての理解が不可欠ではないか。
 参加者の内、初対面の方はわずか2名でほとんどが旧知の方だった。とりわけ進行役の担当ケアマネさんはつどい場”あん”の参加者であり懇意な方だった。個人的なネットワークの拡大を実感した。

乙川優三郎著「霧の橋」2017年06月06日

 五木寛之の漂白をテーマとした二作品を読了し、再び蔵書の再読に戻った。その前まで再読を続けていた乙川優三郎の著作「霧の橋」である。
 この作品は第7回時代小説大賞受賞作ということだ。当然ながら巻末の「解説」でも高い評価がコメントされている。だが個人的にはこの作品の評価は他の乙川作品に比べ高くない。
 本作のテーマが夫婦愛であることは容易に理解できる。ただそのテーマを描き方が余りにも多面的で多くの要素を折り込みすぎている気がした。武士を捨てて商人として生きるということをモチーフにしながら「仇討ちがもたらすもの」「商人どうしの策謀」「商人と武士の魂の葛藤」「夫婦間の気持のズレ」等々。それぞれに巧みな描写で惹きつけられるがそれらが全体としてのまとまりを欠いているように思えた。
 とはいえ作者の提示したラストにはその情緒あふれる描写とともに共感した。武士の魂と商人としての生きざまの葛藤が続く中で、いずれにも徹しきれないありのままの姿こそがかけがえのないものとしてラストを迎える。
 ○か×かの割きりでない○も×も時に△もありのしなやかな生き方に魅かれるこの頃である。

盛り沢山のコープの工場見学会2017年06月07日

 コープ委員をしているコープの最寄り店の工場見学会があった。コープ委員や一般組合員などの26名の参加者を乗せたバスが朝8時40分にお店を出発した。
 最初の訪問は魚崎にある輸入果実の供給をコープに特化した企業である「サミット神戸合同物産」だった。会議室でプロジェクターによるバナナの無農薬栽培の工程を学んだ。安全なバナナ栽培のために手間ひまかけて可能な限り自然の恵みを活用しながら行われる工程を知ってあらためて安全に求められるコスト負担を理解した。輸入バナナを熟成させるための室(むろ)も見学した。帰りには安全安心のCoop'sフレンドリーバナナ5房を頂いた。
 昼食会場は甲南漬資料館を併設した「こうべ甲南武庫の郷」だった。古いかまどで炊かれたかまど炊きご飯を売りにした平介定食を頂いた。さわらの焼き物や漬物盛合せをおかずに食べたご飯はさすがに美味しく用意されたお櫃のお代わりご飯をおかわりした。
 続いて「UCC六甲アイランド工場」を訪ねた。ジャマイカやハワイの農場から輸入されたコーヒー豆が品質検査、焙煎、ブレンド、粉砕、包装などの工程を経て製品化される過程がプロジェクターや実演や試飲などを織り交ぜて紹介された。最後に喫茶室では曳き立てコーヒーが振る舞われコーヒーのお土産まで頂いた。
 最後の訪問スポットは灘の清酒「福寿」の酒蔵見学だった。「神戸酒心館」と名付けられた酒蔵、資料館、蔵元ショップを備えたゾーンでビデオ視聴、蔵見学、利き酒、お買物を楽しんだ。
 予定時刻より早い16時15分には出発地に戻った。輸入果実、甲南漬、コーヒー、お酒と4つもの盛り沢山の見学会だった。

久々に労働運動を語った2017年06月08日

 一カ月ほど前に東京のさる私立大学の経済学部教授から突然のメールを頂いた。我が国のチェーンストアの労使関係についての研究者で1970年代から1980年代のチェーンストア労働界や出身労組の動向についてのインタビュー取材の申入れだった。現役時代に懇意にしていた業界労組OBの紹介だった。了承する旨返信し取材の日程と場所を打合せた。
 その取材の日を迎えた。13時にJR宝塚駅改札口で落ち合い、最寄りのホテルラウンジで2時間に渡って取材に応じた。取材内容は多岐にわたった。当時のチェーンストア労働界を支えた人物像という視点での私自身のプロフィール、出身労組の結成の経過やその後の活動状況、経営側の労組や上部組織についての認識や対応、チェーン労協等の上部組織との関わりや流通産別構想についての対応や意見、企業内における労組の役割・機能についての意見等々である。
 私のHPに掲載した関係する著述を事前に紹介しておいた。そのこともあってかよく情報を把握された上でのポイントを押さえた質問があいついだ。私の労働運動経験の集大成ともいえるチェーンストアエイジ・ニュースへの寄稿論文 http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/ronbun3-1.htm も10数年前に読まれたとのこと。その頃からいつか取材をしたいと思っていたという嬉しいお言葉も頂いた。出身労組のパート組合結成直後にも来訪して取材したということもお聞きした。初対面ながら実際には様々なつながりがあったのだ。
 飾らない実直なお人柄で謙虚に耳を傾ける取材姿勢に、ついつい饒舌に突っ込んだ裏話も含めてお話しした。20歳若い働き盛りの研究者を相手に、久々に20代から30代の意気盛んだった頃の体験の思いのたけをぶつけさせて頂いた。

家康は日本の初代大統領!?2017年06月09日

 現役時代からネット配信を受けているビジネス日報(アルフィックス日報)がある。リタイヤ後も続けているのは記事内容がビジネスに拘らず幅広い視野で多面的な見方の記事を提供してくれるからだ。時に目から鱗の鋭い記事に共感することもある。徳川家康の海外での高い評価に関する今日の配信記事もそのひとつだった。
 
 (その偉大な実績とは裏腹に日本で不人気な武将である家康は)国内の評価とは反対になぜか海外からの評価は高く、特にアメリカの歴
史学者によりますと、家康は日本で初めての「大帝国」を作り上げ、一国の管理運営に成功した偉大な「政治家」であると分析されています。「関が原の合戦」はアメリカの南北戦争と同一の意義を持ち、リンカーンと同様の成果ばかりか、アメリカ独立の父ワシントンの業績までを家康1人で確立させ、江戸に徳川幕府という中央政権を作りあげた、日本の「初代大統領」との見方です。
  
 確かに当たっていると思う。家康には巧妙であくどい手法で豊臣政権を滅ぼした狸オヤジのイメージがつきまとう。そうした感情的な評価とは別に冷静に家康が成し遂げた実績こそが評価されるべきだろう。江戸幕府によってはじめて日本に265年間に及ぶ平和な中央政権が誕生した。それは鎌倉幕府も室町幕府もなしえなかった幕藩体制による初めての日本全土を統治する統一政権だったと言える。その礎を築き上げた創業者こそが家康だったことは紛れもない。明治維新の近代化も世界有数の識字率等の江戸時代の遺産を抜きにはなしえなかったのではないか。家康に対する「日本の初代大統領」という見方もあながちまちがいとは言えまい。目から鱗の記事だった。

初めてのコープ移動店舗を訪ねた2017年06月10日

 所用で住宅街のコミュニティセンターに出かけた。事務処理を済ませて帰路についた時だ。最寄りの自治会駐車場にコープ移動店舗が停車し営業中だった。
 一度運行を中止したコープ移動店舗は昨年1月から住宅街で2カ所の営業を再開した。再開に当たっては福祉ネットも買物弱者対策の一環でアンケート調査等の協力を行った。事務局長の立場でコープ側の担当者との調整役も買って出た。ところが再会した移動店舗の実際の営業にこれまで立ち会う機会がなかった。
 早速、移動店舗に乗り込んで見学した。車内(店内?)には顔見知りの高齢女性がおひとり買物中だった。「よく利用してるんですか」と声を掛けると「私は毎回利用してます。店まで行かなくても済むので重宝している」とのこと。ドライバー兼店長(?)は60歳前後のオジサンだった。「売り上げのバラツキが大きいという情報を聞いたが」と水を向けると「最近は安定してきています」とのこと。こわもて風の風貌からは予想外の愛想の良い受け答えが返ってきた。
 超高齢社会の買物には従来どおりの商品供給では間に合わない。多様な買物機会の選択肢が欠かせない。移動店舗もその一つに違いない。まだまだ問題もあるだろうがぜひとも定着してほしい。