THE歴史列伝「日本民俗学の父 柳田国男」2017年07月04日

 歴史番組が好きだ。BS-TBSの「THE歴史列伝」もお気に入り番組のひとつだ。先日再放送の「日本民俗学の父 柳田国男」を観た。郷里・姫路に隣接する福崎町出身の日本民俗学の創始者である。柳田国男の生涯がその足跡や思想の変遷とともにコンパクトにまとめられた好番組だった。
 生い立ち、文学への傾倒、親友・田山花袋との出会いと絶望、農村支援の農政官僚としての富国強兵の国策との葛藤、農村伝承の収集と「遠野物語」の発表、南方熊楠との交流と神社合祀反対活動、退官と農村文化の調査研究、民俗学の誕生といった展開である。1時間の番組が息もつかせぬドラマのようにあっという間に終わった。柳田国男という在野の偉大な研究者のドラマチックで壮大な人生に共感するとともに「民俗学」というジャンルにあらためて魅せられた。
 グローバル資本主義というモンスターが地球を席巻し、究極の格差社会を生みだし、「改革」というまやかしの大義を振りかざし地域社会を分断・破壊しつつある。民俗学とはその対極の位置にあるローカリズムのバックボーンともいうべき学問ではないだろうか。それは日本人のアイデンティティの追求であると同時に地域に根ざしたカルチャーの砦づくりの営みでもある。
 山口風土記という地域の風土やカルチャーをテーマとした公民館講座を15回に渡って開講した。後半は名塩、道場、有馬の隣町の風土記だった。振り返ればそれは私にとってのささやかな民俗学との関わりでもあった。