在宅医療の開業医連携(福祉フォーラムから)2017年09月07日

 第3回福祉フォーラムの講演内容を整理しておきたい。講師は西宮市内で15年に渡って外来診療の傍ら在宅医を続けてこられた55歳の川崎医師である。地域医療にも意欲的でメディカルケアネット西宮の有力メンバーで「みやっこケアノート」の作成者のひとりである。
 多数のパワーポイントシートを駆使したプロジェクターによる講演だった。大阪府貝塚市出身の医師が地縁のない西宮市内で開業し軌道に乗せるため医師会はじめ積極的に地域の勉強会や研究会に参加されたという。訪問診療を手掛ける上で訪問看護ステーション、ケアマネ、ヘルパー、理学療法士等の専門職とも交流を重ねた。このことが川崎医師の今も原点になっているようだ。
 地域包括ケアの本題では、急性期病院やリハビリ回復期病棟からの在宅移行後の対応が地域包括医療の役割となる。医療機関単独の対応では限界がある。訪問看護、訪問介護、薬剤師、訪問リハビリさらに介護保険による生活支援サービス等の多職種による連携が欠かせない。これに対応するため「強化型在宅支援診療所」があり一診療所3名の医師か川崎医院のような9診療所未満の連携体制がとられる。講師からは具体的に川崎医院を含む七つの開業医による連携体制が紹介された。こうした在宅支援診療所による5年余りの連携で「情報共有」(在宅処置や、麻薬の使い方、症状緩和の工夫等)、「医療機器の共有」(ポータブルタイプの超音波検査器等)、「自由時間の確保や緊急時の代行」(遠方への旅行、学会参加などでの留守番や緊急時対応)が可能になったとのこと。
 訪問診療の実情を知るにつけて在宅医の過剰な負担が気になった。今後の在宅医療の需要の急増は訪問診療の基盤を揺るがしかねない。当面の対応は訪問診療に携わる開業医間の連携しかないことが分かった。在宅医は体力的にも苛酷な24時間対応が迫られる。若手の志ある医師の在宅医への参入と既存の強化型在宅支援診療所での連携を期待したい。

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