長尾和宏著「薬のやめどき」2017年09月20日

 在宅医・長尾和弘氏の著作「薬のやめどき」を読んだ。在宅ケアについての学習を重ねるに従い、現代医学の薬物治療への依存度の高さに疑問が深まった。漢方は別にしても薬にはなにがしかの副作用が避けられない。多剤投与の弊害の最大の問題点である。
 この著作は長尾氏のかねての主張を集大成したもので大いに共感した。全体が二つのパーツで構成されている。第1章は降圧剤、糖尿病薬、抗がん剤、抗認知症薬、睡眠薬、胃腸薬等、個々の治療薬ごとのやめどきのサジェスチョンである。第2章では多剤投与に流される今日の医療界の背景や事情を在宅医の立場から断罪する。「薬には必ず副作用がある」「臓器別縦割り医療の弊害」「お薬ムラとお薬利権」等々。
 私は7年前から降圧剤を服用している。降圧剤は一度飲み始めたら止められないという説を素朴に信じていた。当初はアムロジン2.5mg2錠を毎朝服用していたが、その後ジェネリックのアムロジピンに切り替え更に1年前からはかかりつけ医のためらいを押し切って1錠に減量した。血圧は服用を始めた頃の155-105をピークに現在は135-75と安定している。減量を申し出た時は130ー70だったが、減量直後の1ケ月も135-73と著しい変化はなかった。ちなみに服用薬のアムロジン(アムロジピン)はこの著作でもお勧めの降圧剤として紹介されている。
 「薬のやめどき」もさることながら著作の中でしばしば語られる「やめどき」という言葉が気に入った。人はしばしば始めることに関心が深い。次々に始めた結果、生活ががんじがらめになることも多い。古希を越えて終活が迫られている。今取り組んでいる様々な活動は多岐に渡る。「やめどき」を真剣に考えなければならない。