NHKドキュメンタリー”赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~”2017年09月24日

 録画していたドキュメンタリー番組を観た。12年前に初回放映された「赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~」という番組だった。
 あらためて仲代達矢という稀有な役者の偉大な足跡に共感した。撮影当時72歳だった彼も今や85歳を数える。撮影の8年前に最愛の妻であり同志でもあった宮崎恭子を膵臓癌で亡くしている。番組は恭子を亡くした後の喪失感からようやく脱して「老い」をテーマとした舞台に挑む仲代の姿を追っている。
 妻・恭子が立ち上げた俳優養成塾である無名塾を引き継いで若い俳優たちを育てる姿が描かれる。仲代の厳しく苛烈な指導を恭子が温かくサポートするという役回りが、恭子亡き後は仲代自身がその両方を使い分けながら指導しているという塾生の言葉が印象的だ。同志であった妻の役回りも引き受けながら喪失感に立ち向かっていたのだろう。
 仲代は「赤秋」という言葉を好んで使うようだ。「青い春(青春)」に対峙した意味合いなのだろう。燃えるような秋をひた走る自身の想いを重ねているのだろうか。
 久々に見応えのあるドキュメンタリーを味わった。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック