認知症サポートべんり帳・地域版作成の意義2018年02月20日

 山形の二泊三日の非日常のひと時を過ごした翌日である。福祉ネット役員会というリアルな現実と向き合った。議事のひとつに前回役員会の午後に開催された第1回認知症サポートべんり帳・地域版作成委員会の報告があった。委員会メンバーによる報告の後、地域版作成の意義について以下のような補足をした。
 認知症の地域サポートの課題は二つある。ひとつは馴染みの薄いそれだけに不安や誤解の多い認知症という病の適切な情報を提供すること。今ひとつは町ぐるみで認知症当事者に適切な接し方ができる環境づくりである。高齢者の五人に一人が認知症という時代がやってくる。認知症が日常生活の一コマとなる日が遠くない。認知症をあるがままに受入れる地域づくりがかかせない。
 認知症サポートべんり帳・地域版作成の意義とは、この地域サポートの二つの課題の具体化ということにある。認知症になった当事者や家族が地域で暮らすために我が町の役立つ施設やお店、支援サービス、情報や相談窓口、それらのマップや連絡先などの情報が満載である。
 一方、この地域版作成に当たっては多面的な地域住民や施設や関係者の協力が欠かせない。例えば認知症当事者に理解のあるお店のひとつとしてあるコンビニエンスストアの便利帳掲載を考えたとしよう。作成委員会メンバーと福祉ネット役員がペアでそのお店を訪問し掲載依頼を行う。多くのお店は前向きに対応してもらえる筈だが、現実問題として従業員への指導教育は手に余る。そこで福祉ネットや地区社協主催の認知症サポーター養成講座の受講をお勧めする。お店にとってそれまで「他人事」だった受講が俄かに「我がこと」になる。講座には従来見かけることのなかった多くの顔ぶれが期待できる。ことほどさように地域版作成とは地域の多様な関係者を認知症理解者になってもらう環境づくりの営みという意義をもつ。