かかりつけ医を媒介にしたネットワーク2018年03月01日

 ここ四五日、風邪気味で咳が止まらない。熱もないのでほっとけば治るだろうとタカをくくっていたが、咳で眠れなくなった。こらアカン。かかりつけ医院を訪ねた。
 熱はなく咳が激しいという患者の訴えに、懇意のドクターは念のためレントゲンを撮ってみましょうとのこと。胸部に炎症が見られ、これが咳の要因ではないかということで咳止めの外に抗生物質を処方された。
 診察を終えて福祉ネットのアドバイザーでもあるドクターとしばらく懇談した。福祉ネット広報紙最新号の地元病院長とのインタビュー記事を話題にした。前回この医院での診察時の雑談でヒントを得てそのインタビューを企画した経過がある。記事内容を予想外に評価して頂いた。病院と開業医の連携の模様や在り方が上手にまとめられているとのこと。ドクターからも公民館講座での在宅医療をテーマにした講座開講の情報が伝えられた。オヤジ会メンバーである公民館活動推進員の企画である。オヤジ会でのつながりが講座開講を実現したようだ。
 公園清掃や公園の花壇づくりのボランティアを幅広く手掛ける知人からもドクターとの関わりを聞いた。ボランティアのチラシにドクターに依頼して「歩くことの勧め」をテーマにした記事を掲載したとのこと。こちらもお二人がオヤジ会メンバーであるつながりが背景にある。
 オヤジ会を舞台に地元のかかりつけ医を媒介にした様々なネットワークが誕生している。

地区社協会長の事務処理繁忙期2018年03月02日

 年度末を迎えて地区社協会長としての事務処理に追われている。地区社協の財源の60%程度は市社協からの7項目ほどの交付金、補助金、助成金で賄われている。年度末にはそれらの今期実績報告と来期申請手続が求められる。
 昨年度までは会長就任直後ということもあり、前会長に多くの処理を代替してもらった。3期目の今回は何とか自力で処理すべく実務に取り掛かっている。
 自前で処理するにあたって可能な限りWardやExcelによるデータ処理を心がけている。一度データ化しておけば次回以降は数値の修正だけで大幅に事務処理が軽減されることになる。とはいえ基本的にはお役所風の独特の手続書式を理解しながら作成しなければならない。そのつど前任者や市社協地区担当者に問合せながら処理している。この実務を通して今まで見えていなかった実像も見えてくることもある。
 他方で地区社協総会に向けた議案書作成、会計処理、役員選任等の対応も迫られる。年度末の地区社協会長としての繁忙期である。

地区社協福祉講座「介護の備え 入門」2018年03月03日

 今年度二回目の地区社協福祉講座が開催された。講座タイトルを「大介護時代がやってくる!介護の備え 入門」と多少センセーショナルにネイミングした。講師は高齢者あんしん窓口・山口の社会福祉士と看護師のお二人である。高齢者を中心に27名に受講して頂いた。
 前半の「介護保険のしくみ」について看護師さんから分かりやすく丁寧に説明があった。知っている内容がほとんどだったが、「介護認定非該当者の救済措置である事業対象者」や「介護保険適用の特養、老健、療養病床の違いと適用基準」は参考になった。
 後半の社会福祉士さんの「高齢者あんしん窓口の役割」についてもほとんど既知の情報だった。ただ「地域包括ケアシステムの具体化に向けて事例対応の個別地域ケア会議とその事例を集約した地域課題解決のための地域ケア会議」については仕組みと実態の乖離があり講座後に以下の質問した。「個別地域ケア会議は開催されているが地域課題解決の地域会議は開催されていないのではないか。市社協提唱の地区ネットワーク会議が唯一その役割を担える会議体と思えるが実際にはその機能に至っていない。地域包括や市所管部署や市社協がその方向性に向けて指導すべきではないか。当地区では福祉ネットが認知症カフェ立上げ等の地域課題実現に取り組んでいる」。
 結果的に、福祉ネットの地域包括ケアシステムや地域ケア会議の機能を担う役割を持つことをアピールする良い機会となった。

びわ湖毎日マラソンで寛いだ日曜日2018年03月04日

 午前中、オヤジ会メンバーのおひとりと住宅街のカフェで懇談した。地区社協の来期態勢に関わる面談だった。最終的に意図した方向での合意を得られ、懸案課題のひとつにメドがついた。
 午後は12時過ぎからびわ湖毎日マラソンのテレビ中継を満喫した。琵琶湖の南端を折り返すコースである。その大津市は孫娘・花ちゃん宅のある町で何度も訪ねて琵琶湖畔でも散策を重ねた馴染みの町である。マラソン中継でも見覚えのある街並みが登場する。それだけに親しみのある必見のマラソンである。
 レース展開は期待の日本人選手が次々とトップグループから脱落したもの、7位の中村選手が初マラソンで2時間11分を切って辛うじてMGC出場権を得たことが収穫だった。MGC出場権というよくわからない仕組みに当初は戸惑った。ところが今回のようなレース展開ではこれがあることで最後までレース展開の興味を失わせない効果があることを知った。また出場選手にもタイムと順位双方でモチベーションとなっていることも否めない。結果的に日本人選手のレベルの底上げ効果にもなっているのだろう。

”あるがままに生涯を”(年頭所感)2018年03月05日

 先月、地区社協広報紙が発行された。年6回隔月発行の広報紙の2月号1面は会長の年頭所感が掲載される。以下は「あるがままに生涯を」と題したその記事の転載である。

【第8次地区福祉計画】
 三年前の地区社協総会で第八次地区福祉計画を策定しました。目標は「誰もが安心していきいきと生涯を暮らせる共生の町」です。目標実現の理念は「共生の町」です。様々なハンディを抱えた人々と健常者が一緒に支え合う町づくりです。
 三年を経て、そのための様々な取り組みが、着実に実施されています。「共生の町」を巡る風景を綴りました。
【共生の町の風景】
■介護者の会で独り住まいの高齢女性から庭木の処理や草抜きができなくなって困っているという声がありました。同席のボランティアコーディネーターが手配して、よりそいサポートからボランティアを派遣し、困りごとが解消されました。
■施設から住宅街の盆踊りに車椅子の障がい者が参加したいという要望が伝えられました。地区社協で受入れを準備し、当日の盆踊りの輪に車椅子で加わるお二人の障がい者の姿が見られました。
■民生委員の高齢者実態調査で認知症の舅さんを懸命に介護するお嫁さんのお話を伺いました。気の休まることのないお嫁さんの息抜きの場があればと思いました。山口地区の認知症カフェの立上げが着々と進んでいます。
■民生委員の健やか赤ちゃん訪問で中国出身の若いママに地域の子育て支援事業を紹介しました。近くに身寄りや知人のいない異国での二カ月児の育児はどんなに孤独で不安なことでしょう。社協の子育てサロンを案内しました。数日後のサロンに同月齢の赤ちゃん連れのママと楽し気に寛ぐ中国人ママの姿がありました。
■独り住まいの高齢女性の認知症が進み、日常生活に支障が出始めました。ケアマネジャーの呼びかけで民生委員、ご近所の方、ヘルパー、趣味の会の友人、あんしん窓口や介護施設の職員、ご家族等が一堂に会し、多面的な支援を話し合いました。
■会員減少と役員確保に苦慮する子ども会のクリスマス会をオヤジ会有志が応援しました。オヤジ会メンバーのクリスマスソングの歌唱とコマ回しの特技に会場が湧きました。ゲームの運営にオヤジたちが加わり、例年にない子どたちと祖父世代との交流がありました。
【共に生かされる】
 高齢者の五人に一人が認知症という時代がやってきます。認知症が日常生活の一コマとなる日が遠くありません。認知症をあるがままに受け入れる地域づくりが求められます。同様に高齢者も障がい者も介護者も子育て世代も、あるがままに生涯を暮らせる町が必要です。「共生」とは「共に生きて共に生かされる」ということだと思います。ハンディを負った人に寄り添いながら自分自身も生かされる…。
 年頭の所感です。

メモリアルイベントとなった山口ふくしフォーラム2018年03月07日

 山口ホールで”山口ふくしフォーラム”が開催された。西宮市と西宮市社協が主催し山口と北六甲台地区社協が共催する初めての福祉フォーラムである。参加人数が読めない中で当初は定員50名ほどの山口センター2階多目的室を予約していた。徐々に参加者数が固まる中で50名を超えることが分かり会場を山口ホールに移した。それでも70名前後が直前の見込みだった。ところがふたを開けてみると105名もの参加者だった。参加者は山口の住民である各地区社協関係者と地域内の福祉施設等の事業者、専門職、市社協、市関係部署職員である。
 市社協の北部地区担当によ基調報告の後、名来老人クラブの介護予防体操、香花園老人クラブ&民生委員の助け合い活動、山口地区障がい者親の会の設立経過の事例発表があった。市社協地区担当のソフトなト-クと発表者への質問や、自治会連合会長等の会場参加者への質問なども織り交ぜた運営が会場全体の一体感と和やかさを醸していた。事例発表の後、山口、北六甲台両地区社協代表から活動報告を紹介した。私からは地域支援マップを資料に特徴的な活動事例として福祉ネットとちょい呑みオヤジ会の紹介をした。
 後半30分は参加者に配られたキャンディの種別に九テーブルに分かれてのコーヒーを飲みながらの寛いだグループ懇談会だった。新旧両地区の福祉関係者10名前後が自己紹介を皮切りに個人や地域の活動について忌憚のない意見を交わした。
 2時間のフォーラムを終えて締めくくりの挨拶を受け持った。新旧両地区を跨いだオール山口の初めての地域福祉のフォーラムに105名もの参加があったこと。地区担当の巧みな企画と運営で会場と一体化した素晴らしいフォーラムになったこと。各事例発表が今後の活動に良いヒントとなったこと。今回限りのフォーラムでなく次年度以降も継続できるよう市や市社協の支援をお願いしたい等を述べて締めくくりとした。
 画期的なメモリアルイベントとなった山口ふくしフォーラムだった。

地区民児協の子ども問題の初めての研修会2018年03月10日

 年1回地区民児協主催で民生委員協力員と民生児童委員対象の研修会が開催される。今年は「子どもの問題」をテーマに開催することになった。児童委員を兼ねる民生委員には子ども問題は避けて通れないが、このテーマでの研修会は今回初めてだった。今月の定例会開催前に大勢の協力員さんの参加を得て開催された。
 講師は市の関係部署の担当者お二人である。前半は「子供の貧困対策~現状と対策~」をテーマに子ども家庭支援課係長から話を伺った。貧困率13.9%等の日本の子供の貧困の現状、貧困の定義、母子家庭の貧困率の高さ等が述べられた。続いて西宮市の6.8%の貧困率等の現状に対して、貧困の連鎖と教育格差の関係から市の無料学習支援対策が紹介された。無料学習支援策の具体的な内容については触れられなかったのが物足りなかった。
 後半は「健康福祉センターの育児支援・虐待予防」をテーマに山口保健福祉センター係長から話を伺った。子育て支援の重点課題とし「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」「妊娠期からの児童虐待防止対策」を中心に語られた。子どもの発達障害や経済的困窮などの育てにくさの要因に対して家庭訪問等による丁寧な支援をおこなう。若年、多胎出産、妊娠の届出遅れ等の支援が必要な妊婦についても出産病院と連携した家庭訪問や乳幼児健診の促進等が述べられた。特に4カ月児、1歳6ヶ月児、3歳時の各健診が子供の発育と育児状況の確認を通して虐待予防につながっていることをあらためて教えられた。民生委員の健やか赤ちゃん訪問もその一環でもある。
 子供の問題を整理して聞けた1時間余りの意義深い研修会だった。

東山台の認知症声掛け訓練2018年03月11日

 市社協の地区担当から「東山台のあったか見守り声掛け訓練」の案内チラシをもらった。街で認知症の方を見かけた時の声のかけ方の模擬訓練である。前回開催のようすを地区担当から聞かされて、次回開催の際にはぜひ参加したいと思っていた。
 その訓練に出かけた。JR名塩駅の斜行エレベーターに乗車し終点駅のすぐ近くにある会場のナシオンホールについた。九つのテーブルに分かれて参加者が着席した。主催者やスタッフを含めると100人近い参加者だった。今回で3回目で市内では唯一つの訓練ということもあり、これだけ多くの参加者となったようだ。
 最初にななくさ白寿荘スタッフによるミニ講座があった。パワーポイントによる声掛け訓練のポイントをわかりやすく説明したプレゼンだった。その後、認知症の声掛けの事例と大牟田市の認知症声掛け模擬訓練の様子を紹介したNHKの放送録画を鑑賞した。
 続いて訓練の進め方についての説明があった。二つのコースに分かれて二人づつのペアによる訓練である。前半は声掛けだけの訓練で、後半はスーパーや薬局やグループホーム等へのつなぎを想定した訓練とのこと。
 会場を出て東山台の住宅街の街路と公園に場所を移しての実際の訓練となった。認知症役のボランティアの文字入りジャンパーを着たスタッフを見つけて声を掛ける。ほとんどが介護施設のスタッフで認知症の方との日常的な交流がある方である。加えて事前にどんな役回りでどう受け答えするかもレクチャーされているようだ。相方の年配女性が認知症の方に声をかけたものの後が続かない。言葉が出ない。きまづい沈黙が続いて認知症の方から助け舟風の言葉が出る。ことほどさようにいざ実際に声を掛けるとなるとほんとに言葉が出ないものだ。
 私の番になり相方の失敗を参考にとりあえずひたすら言葉を発することにつとめた。「こんにちは」「暖かくなりましたね」「どこにお出かけですか」「ここにはよく来られますか」「いつも行くお店はどこですか」等々。
 後半の「つなぎ訓練」に入った。「いつもよく行くお店はどこですか」という問いに「オアシスですね」とのこと。ちょうどオアシスのポスターを張ったテーブルが目に入る。「ではオアシスに行ってみましょうか」と案内する。店長の名札をつけた男性に引継いだ。経験豊富そうな店長が巧みに身許を推定できるような会話を引き出してくれる。つなぎ場所のありがたさを実感した。
 1時間近くの訓練を終えてナシオンホールに戻った。暖かくて美味しい白玉ぜんざいを頂きながら振り返りの懇談会となる。誰もが異口同音に「言葉が出ない」ことの難しさを口にする。認知症の方への声掛けにマニュアルなどがないことは承知の上で思ったことがある。言葉が出ないことには話にならない。実際の声掛けにヒントとなる幾つかのトーク事例があるように思える。「コンニチハ」に始まり「いいお天気になりましたね」「どこに行かれますか」「ここはよく来られますか」「おうちにはどなたかおられますか」「何か好きなことをされてますか」「よく行くお店はどこですか」等々。そんなトーク事例を紹介してもらえればありがたい、とおしゃべりが苦手なリタイヤオヤジの感想を述べた。
 全員で集合写真を撮って3時間近くの貴重で意義深い声掛け訓練を終えた。

最後のコープ委員会2018年03月12日

 今期最後のコープ委員会があった。定例の報告事項や協議事項等の議事の最後に来期の委員会メンバーの登録についての経過が報告された。委員2名が退任し新たに2名が登録されるとのこと。関連して出席の全委員から今期の活動についての反省や感想が求められた。私自身は1期2年の任期を終えて今期で退任する。その点も含めての所感を次のように話した。
 「2年前に福祉ネット絡みで面識のできた前店長からコープ委員を打診された。ちょうどその年にコープこうべの福祉ネットオブザーバー就任を要請していたこともあり、コープこうべの組織や活動を理解する上で良い機会と思い1期2年を前提にお引き受けした。2年間の活動を通じてコープこうべの組織や活動を一歩踏み込んで理解できるようになった。営業面での消費者組合員の意向や要望に可能な限り寄り添うという姿勢、地域福祉、環境、平和、文化等の多面的な地域貢献活動等に共感した。反面で男性は私だけという点での戸惑いがあったのも事実。コープまつりのチラシ作成や行事のレポートなどは手伝えたが、苦手な料理等のメインの活動に関われないもどかしさと申し訳なさがあった。オヤジ会メンバーに後任の打診をしたが男性1人の壁が高かった。今後も福祉ネットや認知症カフェ等を通じてコープとの関わりが続く。男性委員の必要性は認識しており委員打診を気にかけたい。」
 委員会終了後に恒例のお食事交流会の会場に向かった。地区社協のふれあい交流会でお馴染のサンパレス六甲が会場だった。ビーフシチュウメインのコース料理を味わいながら1時間半ばかりの交流会を過ごし、2年間のコープ委員という役割を終えた。

在宅ケアと金融老年学2018年03月14日

 尼崎の在宅医・長尾和弘氏のブログ「Dr.和の町医者日記」を欠かさず読んでいる。目下の最大の関心事である”在宅ケア”の貴重な情報を得ている。直近のテーマは「医師も金融老年学を学ぶ時代」と題した長文の記事だった。

 認知症絡みの裁判が増加しているようだ。在宅看取り後の遺産相続を巡って兄弟姉妹間で相続争いが起こっている。親の遺言を巡って双方の弁護士から当時本人が認知症だったかどうかを在宅医に頻繁に尋ね、場合によっては裁判にまで巻き込む事例もあるようだ。
 他方で認知症発症者の通帳や印鑑の紛失や預金の窃盗事件が増えている。家族からの経済的虐待も多発している。独居高齢者の医療機関への医療費不払い問題もある。認知症発症者の資産管理の問題でもある。高齢者対象のこうした課題に対応するのが金融老年学ということのようだ。高齢者の資産の取り崩しや住宅資産の処分も含めた有効活用等の面で金融老年学の活用が求められる。
 在宅医は末期がん患者のがん保険の加入の有無の確認や施設入所での経済状態毎の選択肢の相談にも応じる場合もあるという。認知症訴訟への対応も含めて医療従事者にも金融老年学的知識が求められる時代になっている。
 
 地域での在宅ケアの支援を考える上で示唆にん富んだ記事だった。