人生の入口、出口の苛酷な環境2018年07月02日

 福祉ネットの事業目的に「子育て支援」を追加して以降、子育て問題に向き合う機会が否応なく増えてきた。子育て問題を理解するにつれ、高齢者問題のテーマに驚くほど類似していることに気づかされた。
 何よりも双方の問題に共通する施設や人材の絶対的な不足がある。高齢者の介護施設と介護者、乳幼児の保育所と保育士それぞれに絶対数の不足が著しい。その背景には、介護士と保育士の労働条件の低さがあることは明らかである。その結果、多くの待機老人と待機児童を生みだしている。
 施設やマンパワーの絶対数不足はサービスの質の低下を招き、時に受給者である高齢者と乳幼児に「虐待」という苛酷な環境を強いている懸念がある。家庭内での「老人虐待」と「児童虐待」は格差社会と貧困の深刻化の裏返しという共通項がある。
 経済界の意向を重視する経済至上主義の長期政権が続いている。福祉は置き去りにされ、市場原理の規制緩和が格差と貧困を増幅させている。そのしわ寄せを真っ先に受けるのが高齢者や乳幼児という社会的弱者なのだろう。日本は人生の入口と出口でかくも苛酷な環境を強いられる社会に成り下がった。