NHKスペシャル 人生100年時代を生きる 第2回 命の終わりと向き合うとき2018年11月21日

 NHKスペシャル 「人生100年時代を生きる」シリーズの2回目は「命の終わりと向き合う時」と題した「延命治療と穏やかな死」を巡る重いテーマの番組だった。
 番組冒頭で、自宅で最期を迎えようとした終末期の高齢者が次々と救急車で救急救命センターに運びこまれる映像が映される。容態の急変に家族が動揺して救急車を呼ぶケースがほとんどだ。延命治療が施されるが再び意識が戻ることは数少ない。自宅での穏やかな死という望みが断たれ病院での生命維持装置による「生存」が始まるケースが多い。
 また医療技術の進歩で思わぬ事態も生じている。80代でも人工透析が可能になった。ある病院では入院患者の9割が認知症を発症し意思確認できないまま透析が続く。人生100年時代に生きることになって穏やかな最期につながる医療をどのように選べるかが問われている。
 他方で、終末期医療に関わるACP(アドバンス・ケア・プランニング)も医療現場で活発化してきた。医療関係者が患者と家族とともに、患者の医療希望、生命維持治療の意向、代理意思決定のプロセス等を話し合う場である。自身で意思決定ができなくなった時を想定してリビングウイルや事前指示書を作成しておくことも可能だ。また人工呼吸器、人工透析、胃ろう等の生命維持装置の中止の選択肢を患者や家族に提示する医療機関も半数近くになってきたという。穏やかな死を迎えるためのどのような医療を望むかという自身の選択が求められる。
 自宅での穏やかな最後を迎えるためには在宅医との信頼関係が欠かせない。在宅医療でのACPも始まっている。「容態の変化にうろたえてすぐに救急車を呼ぶのでなくまず私に連絡してください」。番組でのある在宅医のこの言葉こそ噛み締めるべきだろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック