故・旧友車谷君との思わぬ再会2018年12月24日

 NHKプレミアムカフェ「白洲正子が愛した日本」とその続編ともいうべき「白洲正子が愛した日本人」の再放送を観た。白洲正子は白洲次郎の夫人というだけでなく美の探究者としても独自の存在感を放っている人物である。個人的にも三田市の新月院の墓地に二人の墓碑を詣でたこともあり印象深い。
 このブログ記事はその番組の感想ではない。番組の冒頭近くで突如登場した懐かしい人物についてのコメントである。20年前に郷里の姫路で小中高と同級生だった車谷君が直木賞を受賞して華やかに世に出た。高校卒業以降、全く音信不通だった私にとってはそれは寝耳に水の嬉しい出来事だった。同時にそれは私の身辺でちょっとしたドラマを招くことになった。http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/kurumatani.htm 
 その車谷君が3年前に病死した。高校卒業後は殆ど交わりのなかった旧友ではあるが私にとっては印象深い人物であった。それでも3年の時の経過はその印象を薄れさせるにはじゅうぶんだった。
 そんな時に突如としてテレビ画面を通して彼のクローズアップ画像が目に飛び込んできた。2006年に収録された番組である。当時の彼は61歳で丸刈り姿のラフないでたちだった。白洲正子の作品である「かくれ里」や「西行」「明恵上人」についての番組のコメンテーターとして出演していた。彼の30代の時の作品に白洲正子が感想を寄せて以来の交遊だったという。「白洲さんは私のファン第一号です」とやや得意げに口にする。そして想像以上に密度の濃い交遊だったことが窺えるコメントぶりだった。独特のだみ声で発せられるその語り口は鋭い切り口で説得力のあるものだった。
 4時間にわたる二本の録画番組を懐かしい級友の解説と一緒に味わった。