医療・介護とナラテイブ2019年02月08日

 昨日に続いての長尾和宏医師のブログ記事の紹介である。数日前の氏のブログに「ナラテイブを多職種で共有できらた最高!だよね」という記事があった。
 記事は102歳の高齢者の老衰による看取りを終えての感想から始まっている。「人生の最期にまで寄り添うことができることが町医者の醍醐味だとあらためて感じた。患者さんや家族と深い信頼関係を築くコツは一にも二にも生活や人生観を知ることだ。その人の『ものがたり』にじっくり耳を傾けることが大切。患者さんの想いに共感できることが『かかりつけ医』の条件であろう。お看取りはその延長線上にある結果にすぎず、目的ではない。(略)病気の枝葉末節にとらわれることなく、生活や予後をも俯瞰した判断が迫られる。そこで活躍するのがナラテイブである」。その上で、秋田県医師会が開発した在宅医療・介護連携ICTツールである「ナラテイブブック秋田(自分手帳)」が紹介されている。
 ナラティブとは、「物語、語りという意味だ。医療におけるナラテイブは、『物語りと対話に基づく医療』という意味で、患者が語る経験や患者と医療者の対話を通して、患者の病いの経験や治療の意味に着目し、より個別性の高い医療を提供すること」(HPナース専科参照)とある。
 ナラテイブは、とりわけ終末期医療においては欠かせない。延命治療を忌避し、在宅での尊厳死を願う根拠でもある。終末期を自分らしく終えたい願うのは自分自身の物語を全うしたいからに他ならない。