藤沢周平著「隠し剣 秋風抄」2019年02月18日

 藤沢周平著「隠し剣 秋風抄」を再読した。”隠し剣”シリーズの第2弾で9編の剣客物語が納められた短編集である。
 9篇の物語それぞれに主人公が会得した様々な”隠し剣”が登場する。それらの”隠し剣”は物語のクライマックスというべき場面で繰り出され多くはそれがエンディングを飾るという構成である。
 「酒乱剣石割り」「女難剣雷切り」「偏屈剣蟇(ひき)ノ舌」「好色剣流水」等のネイミングの秘剣にはそれぞれに曰くがあり、その太刀捌きにも丁寧な描写が加えられている。
 印象に残った作品に「盲目剣谺返し」がある。山田洋次監隠、木村拓哉主演の映画「武士の一分」原作である。テレビで放映されたこの映画を原作のイメージを重ねながら楽しく観た。
  あらためて作者の創造性と構成力に舌を巻いた作品集だった。