地域”猫”活動というボランティア2019年04月04日

 リタイヤ後まもなくお付合いの始まった同世代の知人がいる。地域活動を通じたお付合いでかれこれ10年近くなる。その知人の奥さんの猫好きが昂じて野良猫の餌やりが続いた。自宅に30匹ほどの野良猫がたむろするまでになった。ご近所の苦情の声も聞かれるようになった。その後奥さんは病を得て入院された。問題は自宅回りにたむろするとんでもない数の猫たちをどうするかということになる。
 ここで登場して頂いたのが「地域猫活動」をされているご婦人だった。飼い主のいない猫を増やさず、今いる猫が「地域猫」として地域と共生できるようにする活動である。地域活動を通じて面識があったそのご婦人から話しを聞いた。
 彼女はこの町に転入する以前から20年近く猫活動を続けているとのこと。主な活動は住民の餌やりなどで増え続けた飼い主のいない猫を捕まえて不妊・去勢手術を施し、その印として片耳を小さなV字カットして地域に戻すこと。手術費用は自治体が負担するが医院への猫の送迎費用はエサやり当事者やボランティア等の地域負担である。ボランティアは約2千世帯もあるこの町にわずか3人程である。そのため飼い主不在の猫グループの情報把握が難しい。自治会で一斉に情報収集等の取組みをしてもらえればと思うが、地域全体の関心が薄く実現しないとのこと。
 放置すれば増え続ける野良猫が及ぼす地域への被害は大きい。限度を越えれば行政による大量の殺処分が想定される。猫に罪はなく節度のない住民の振舞いが招いた事態である。話を聞いて頭が下がった。無償の、時には自己負担もあるボランティアをなぜ20年も続けられたのだろう。猫の不幸な処分を招かないよう地域との共存を願うという純粋な「想い」が伝わった。
 知人の住まいにたむろする多数の猫たちの手術が、彼女の尽力で半数以上施され、ほぼ解決のメドがついたという。