自分史と自叙伝2019年07月04日

 自分史を執筆・編集しながらふと気がついた。「私の履歴書」「テーマ別自分史」「著作集」の三部構成である。9割がた原稿ができあがったがその分量は400字詰め原稿用紙にして1000枚前後に及ぶ。これは「自分史」といえるのだろうか。
 思いついて「自叙伝」という言葉でネット検索した。「自分で書いた自分の伝記」とのこと。「伝記」は一般に広範囲な資料や視点をもとに書かれる。自叙伝は執筆者本人の記憶や回想で書かれる。いずれにしろ古代ローマ時代以来の歴史的な意味合いのある言葉のようだ。
 他方、「自分史」は比較的新しい言葉である。1980年代半ば以降のワープロ専用機の普及に伴い自分の生涯をワープロで執筆編集し自費出版する人が増えてきた。こうした出版の注文を受けた出版社が「自分史」という言葉で販促したことが背景にあるようだ。従って自分史は近親者等の限られた対象者向けに内省的でパーソナルな著作という性格が濃いと思われる。
 以上のような整理をしてみてあらためて自身の自分史の性格を問い直してみた。内容的には70数年の生涯のその時々に身を置いてきた環境や社会との関わりを時代背景を織り交ぜながら記述したものがメインである。近親者だけでなく関わり合った多くの皆さんに伝えたいという想いも強い。だとすれば私が意図したものは自分史というより自叙伝に近いものではないか。おこがましさは免れないとも思えるが、年寄りの厚顔と開き直って「自叙伝」として発行しようと思う。