プロフェッショナル・仕事の流儀「吉永小百合スペシャル」2019年10月29日

 NHKのプロフェッショナル・仕事の流儀「吉永小百合スペシャル」を観た。同年齢の吉永小百合さんは、あまたの映画俳優の中でも特別親近感のある女優である。自分と同じ年齢を重ねる人物がスターとして映画やドラマを通してその変遷を見つめられるということの意味は大きい。
 その吉永さんが「プロフェッショナル」という番組に登場するのである。最初そのことを知った時、どこか違和感を覚えた。プロフェッショナルという言葉は吉永小百合という女優になじまないように思えた。
 番組は吉永さんの最新作の映画撮影の舞台裏にカメラが潜入し、その一部始終を記録したものだ。10か月にわたる密着取材を通して吉永さんの実像に迫るドキュメンタリーである。
 番組の中で彼女は語る。「60年間の女優生活を通して、自分をプロだと思ったことはありません」。番組は、彼女が作品の役づくりにひたむきに向き合い、自身が演じる人物の心情に愚直に迫る姿を伝える。演じる役はそのつど白紙の状態で彼女の前に横たわり、素人のような気持ちで誠実に向き合うことで演じきれるということなのだろう。
 清らかで凛とした佇まいを、よわいを重ねて尚漂わせる「最後のスター」をたっぷり味わった。