クローズアップ現代「がん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」2019年11月22日

 NHKクローズアップ現代「現役世代のがん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」を観た。自分自身が癌体験者でもあり、癌告知後の”魔の不安定期”の実感したので興味深く観た。
 冒頭、“がん”と告げられた後、適応障害やうつ病を発症し治療に影響が出るケースが多発しているとアナウンス。心が不安定になる告知後の“魔の不安定期間”をどのように過ごすかというのが番組のテーマである。結論から言えば、ごくありきたりな処方箋でしかなかった。医師とのコミュニケーションの大切さ、周囲の助けを積極的に求める、溢れる情報に惑わされない等々。
 私自身は、13年前に突然の皮膚癌を告げられた。1カ月後のCT検査とPET検査まで、言いようのない不安に襲われた。死の恐怖が同居する眠れない日々が続き、誰にも分ち合えない、自分だけで耐えるしかない恐怖が募った。結局、「なるようにしかならない」という諦観と割り切りで辛うじて精神の平衡を保つ以外に手はなかった。
 深刻な病であればあるほどそれを突き付けられた時の衝撃は大きい。「なぜ自分が?」という絶望感は深い。どれほど悩もうが与えられた現実は変わらない。ここで患者の『受け止め方』が問われることになる。突き付けられた現実は変えられなくとも、ポジティブに受け止めるかネガティブに受け止めるかは患者自身の選択である。
 「見舞客と交わされる患者の『頑張り』とは何か」。入院中に思ったことである。患者自身がネガティブになればなるほど本人の病を克服する気力を奪ってしまう。それは同時に患者をサポートする医師や看護師や家族の支援の気持を萎えさせることにつながる。患者のポジティブさこそが病克服の貴重なファクターである。それは患者を支援する回りの人達と前向きな関係を築く上で患者自身が対応可能な唯一の手立てでもある。『患者の頑張り』とは、患者自身が病とポジティブに向き合うことに尽きるのではあるまいか。

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