自治会の組織基盤が揺らいでいる2019年12月25日

 知人の自治会副会長から相談電話があった。年末を迎えて自治会は来春の総会での来期役員体制に向けた調整が始まっている。新興住宅街の役員構成は、区画(ブロック)の隣保長、数ブロックからなる班長、副班長で構成される。自治会運営の要は班長である。班長の中から会長、副会長、会計、事務局等の三役が選出され、各班帳が自治会活動の実務を分担する。
 知人の相談は、難航している班長選びの地区社協人脈での支援の依頼だった。従来、現役員で何とか選出をやりくりしていたが、今回はある班でいよいよどうにも選出できないとのこと。民生委員としての個人情報問題もあり丁重にお断りした。
 ことほどに自治会役員選びが難航し始めたのは「高齢化」「共働き化」がいよいよ極まりだしたということだろう。班単位の自治会構成世帯の高齢化の進行で班長等の役職に耐えられない世帯が増えてきた。そうした世帯を除外する配慮ができなくなるほど高齢世帯が増えている。現役世帯も共働きが当然のようになっており、自治会の役職で高齢世帯への配慮をするだけの寛容さは減少している。自治会役員選びがこじれて自治会退会に至るという事態も少なくない。
 班長の負担の大きさが背景にある。班長の負担の大きさは自治会行事の多さの反映でもある。ファミリー世帯が多数派で共働きも今ほど多くなかった頃に実施され始めたイベントが、役員体制の脆弱化した今も変わらず踏襲されている。自治会の機能には防犯、防災、衛生、広報、施設維持管理、行政受託事項等のインフラに属する分野が欠かせない。インフラ維持のベースの上に、現状の役員体制でも可能な優先すべきイベントは何かが問われている。